11月14日、小池百合子都知事は希望の党の両院議員総会で代表辞任の意向を明らかにした(写真:つのだよしお/アフロ)

衆院選惨敗後も希望の党代表にとどまる意志を示していたはずの小池百合子都知事が11月14日になって突然、代表を辞任した。

「創業者の責任として代表でスタートしたけれど、むしろみなさんにお任せして、方向性は決まっているわけだから、それをしっかり進めていただくということで、私は代表の座を降りさせていただいて、しかるべき形でみなさん方をサポートしたい」

「1000万人もの方々が『希望の党』と書いて下さった、この重みをみんなでシェアしたいと思っている。希望の星としてみなさんひとりひとりが輝くように私も必要なお手伝いをさせていただきたい」

緑のジャケットを着用せず

同日夕方に開かれた希望の党の両院議員総会で辞意を述べる小池知事の表情には、明らかに精彩が欠けていた。希望の党代表としては最後の党務の場でありながら、自分自身のテーマカラーであると同時に党のテーマカラーでもある緑色をしたジャケットを着用することもなかった。

小池知事の「緑離れ」は今に始まったことではない。衆院選結果の総括のために10月25日に開かれた両院議員総会でも、小池知事のジャケットは緑ではなく黒。選挙での惨敗が確実視された10月21日に、公務のためにパリに赴いた時に着用していたものと同じノーカラーのショートジャケットだった。もはや、緑色のジャケットを着ないつもりなのだろうか。

すっかり気落ちした様子の小池知事だが、都政に専念することで明るい未来が開けるのだろうか。

そんなことはないようだ。14日夜には「都議会公明党が小池知事との与党連携を解消」というニュースが飛び込んできた。都議会公明党の東村邦浩幹事長が「これからは是々非々でやっていく」と報道陣に述べたのだ。

都議会公明党は2016年12月、長年にわたる都議会自民党との連携を解消。その後に小池知事に近づき、与党として共闘関係を結んでいた。今年7月の都議選では小池知事が率いる「都民ファーストの会」と選挙協力を行い、擁立した50人中49人が当選という都民ファーストの快勝ぶりを縁の下から支えた。

小池知事も公明党の候補の街宣には何度も応援に駆けつけ、公明党候補23人全員当選に貢献した。

ところが小池知事が9月25日に国政政党「希望の党」を立ち上げたことが、公明党とのハネムーン関係に亀裂を入れた。公明党は国政では自民党と連立を組んでいる。よって自民党と対立する小池知事に国政に出てこられたら困るのだ。

「自民党との対話もしていきたい」

とりわけ党内で小池知事との連携に積極的だった東村氏にとって、顔を潰されたことになる。東村氏はただちに連携解消を口にしたが、党本部がそれをおしとどめた。小池知事が山口那津夫代表に電話をかけて泣きを入れ、連携解消はいちおう棚上げとなった。ところが・・・。

「必要とあれば、自民党との対話もしていきたい」。東村氏は自らが三行半を突き付けたはずの自民党に、なんとラブコールまで送ったのだ。

自民党との対話姿勢を明らかにしたのは、なぜなのか。急展開の裏にはいったい何があったのだろうか。


14日午後、東京都新宿区で行われた都民ファーストの会の政治資金パーティーにのぞむ小池百合子都知事(写真:日刊現代/アフロ)

背景にあったのは、東京五輪組織委員会の人事のようだ。

2020年東京五輪の組織委員会に、東京都議会は2名の理事の枠を持つ。都議選前は当時の最大会派である自民党の川井重勇氏と高島直樹氏が理事を務めていた。川井氏は東京都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟の会長で、高島氏はオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会委員長という職務からあてがわれたものだ。

東京五輪組織委員会の理事人事が膠着状態に

ところが、川井氏は都議選で落選し、東村氏が後任の招致議連会長になった。そしてオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会委員長には都民ファーストの会の小山有彦氏が就任。都民ファーストの会と都議会公明党は、招致議連会長の東村氏と特別委員会委員長の小山氏に理事ポストを要求したが、自民党がそれに応じてこなかった。

というのも、招致議連は9月5日に総会を開いて公明党の東村氏を新会長に選任したが、自民党が「ルールに従った召集がなかった」として不参加。議連の「超党派性」が問われる事態に発展してしまった。

膠着状態が続いていたのだが、11月上旬になって変化があった。自民党が歩み寄りの姿勢を示したのだ。東村氏の組織委員会理事就任が現実化し始めたわけである。その間に、両者間の雪解けがあったとみるべきだろう。

希望の党の代表を辞任した小池知事はこれから都政に専念するというが、小池知事が国政に目を向けている間に都政ではこれまで以上に問題が山積している。都議会には小池知事の敵も多くなっており、苦しい展開になりそうだ。