大相撲がまたも不祥事に揺れている。

 14日に発覚した横綱日馬富士関による平幕力士への暴行。日本相撲協会は今月初めに事案を把握したが、横綱を九州場所の土俵に立たせた。「隠蔽」とも受け取られかねない事態にも、協会の危機感は乏しい。19年ぶりとなる「和製横綱」稀勢の里関が誕生するなど明るい話題に沸いたこの1年が、「納めの場所」で暗転した。

 角界は酒豪がそろう世界だけに、酒席での騒動は少なくない。元三役の実績を持つある親方は、海外巡業のパーティーで泥酔し、相撲協会幹部に「ハゲ」などの暴言を吐いたことがある。このときは笑い話で済んだが、平成23年1月には、幕内力士が東京都内で泥酔して飲食店のガラスを割るトラブルが立て続けに2件発生し、1人は右腕を負傷した。

 事件も後を絶たなかった。19年には時津風部屋で、序ノ口力士=当時(17)=が当時の時津風親方(故人)や兄弟子らにビール瓶やバットで殴られて死亡。翌20年には幕内若ノ鵬が大麻取締法違反容疑で逮捕されるなど、力士の起こす不祥事が相次いだ。

 22年には横綱朝青龍が一般人に暴力を振るった騒動の責任をとって引退。その後も同年の野球賭博、23年の八百長問題と続き、同年の春場所が中止に追い込まれている。

 地に落ちた相撲人気を立て直したのは、優勝回数を更新し続ける横綱白鵬関ら「モンゴル勢の力」との声もある。知名度の高さを生かし、「宣伝部長」として営業努力を続けてきた貴乃花親方(元横綱)の功績も大きい。それだけに、力士会会長でもある日馬富士関の愚挙は、角界にとって大きなダメージだ。

 関取たちは総じて「大らかで切り替えが早い」という気風がある。日本相撲協会が綱紀粛正を図っても、再発防止が徹底されない遠因がそこにある。