韓国の著名な哲学者、金容沃(キム・ヨンオク)氏が先月31日、中国の19大共産党大会について「習近平1人独裁は絶対に不可能」だと主張した。

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韓国で中国伝統思想の権威者であり、著名な哲学者の金容沃(キム・ヨンオク)氏が先月31日、韓国マスコミを通し、中国の第19回共産党大会について「習近平1人独裁は絶対に不可能」だと分析した。既存のメディアらの後継者問題と党内派閥の視点を批判し、演説から習近平思想とビジョンに何かについて読み解く。

「後継者指定は中国の慣例ではない」 厳格に守られた七上八下

容沃氏はまず、「後継者の指定(隔代指定)は慣例ではない」と指摘した。隔代指定は臂平が改革開放をさらに推進するため、江沢民の次に胡錦濤を後継者に指定した一例しかなく、習近平は派閥間のバランス調整で決定した人物に過ぎないという。党大会前に後継者候補としてマスコミに挙げられた胡春華・前広東省書記と陳敏爾前・前重慶市書記も、直接名指されていない。

これは一人独裁体制をさらに強固にするためではないか? 容沃氏は、王岐山・前中央規律検査委員会書記の退任に「七上八下」の原則を厳格に適用した点を挙げて否定し、習氏自身も来期には、原則に基づいて退くと見ている。

「(習近平の演説は)『若者が興すると、この国が興する。若者が強ければ、この国が強い。今後、この若者たちに夢を与える政治ができれば、この国に未来があり、この民族に希望がある(青年兴则国家兴,青年强则国家强。青年一代有理想、有本领、有担当,国家就有前途,民族就有希望.)』を唱えて終わる。世代交代について、習近平がどれほど信念を持っているかが分かるという。

派閥と関係ない習近平、新指導部5人を登用した本当の目的は?

容沃氏は、「中国共産党・最高指導部の常務委員7人のうち、5人が習近平側近に交代し、権力を強化した」という報道にも異見を表した。5人のうち韓正・上海市党委員会書記は江沢民の派閥で、汪洋・副首相は共青団出身で、胡錦濤の派閥である。残り3人も穏健な人たちで、派閥には寄らないと語る。これは、習近平氏が反腐敗運動(虎狩り)をさらに強化するための措置だと主張する。

習近平が新たに提唱した「生態文明建設」、先富から共富に

 

容沃氏は、3時間30分に及ぶ習近平の演説を分析した結果、習近平思想を「生態文明建設」だと判断、今後の国家運営を環境問題と富の再分配に重点を置くと予想した。

本来共産主義の歴史的発展の推進力をマルクスが「生産性と生産関係の矛盾」と置いた理論から、習近平は「美しい生活に対する国民の熱望と不均衡発展の矛盾」という新しい枠組みを提示し、臂平の「先富論」を「共富論」に変えたと分析、「今までの社会主義は平等という名の下で腐り、美しい国を作り、国民全員が発展をしなければならないということを意味する」と評した。

生態文明建設の最も重要な部分は、農村を生かすことだと主張する。農村人口が全人口の3割を占める中国では、これまでのすべての資本主義的矛盾を農村がカバーし、米国に対抗することができる特色として、農村を中心とした環境問題を解決しなければならないと主張しており、既存の共産主義の「平等観」を「生態文明観」に変貌したと語る。

演説で68回も言及され、民主国家の憲法に当たる共産党・党章に新たに記入された「新時代の中国特色の社会主義」について容沃氏は、「国民が主体となるが、中国共産党の指導力を無視できない、だがその指導力を強化するために最も必要なのが、反腐敗運動ということ」だと述べ、今後習氏は訴えてきた「政は正なり(正しい道をおこなうことが政治である)」の信念に基づいて、腐敗堕落した政治を正すことに拍車をかけるだろうと予想した。

習近平が中国に自由民主主義をもたらす人物だという一部の解釈に対しても忠告を加える。「これ以上の米国の言う世界観に服属されず、中国人の価値観を持って、中国の尺度で、共産主義の未来を考えるべきだと、習近平は訴えている。習近平は子供の頃から、共産主義教育を受けてきた徹底的な共産主義者であり、共産主義的信念を強く持っている。この点を私たちは気をつけなければならない」。

(翻訳編集・齊潤)