増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

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1.資格って何?

質問してくれるのは良いことなので、その気持ちをくじくようなことは言いませんが、本当はもう少しきちんと考えてほしいと思っています。「資格って何?」「どこに就職するために必要?」ということです。「資格」という名の資格はなく、普通運転免許とか簿記3級とか、TOEIC650という具体的な資格と、希望する就職先がそろって初めて評価はできます。

「資格」といっても、何千何万もあり、当然玉石混交、中にはいんちきな資格だってウヨウヨある中、オールマイティで「就職に利く!」なんて魔法がある訳ありません。ロールプレイングゲームの武器のようなパワーアップアイテムと勘違いしていることは珍しくありません。

資格がオールマイティでない以上、その効果は限定的です。限定的とは効果がある職業や企業が限られるという意味です。物販やサービス業に就きたいと思う学生が英語を勉強していれば、それは恐らく接客の場面で役に立つことでしょう。それなら英語系の資格は就職において有効な可能性があります。しかし二級ボイラー技士資格はどうでしょう。なかなか接客面につながるとは考えにくいでしょう。

2.就職って何?
就職先も同じです。就職するのは大学生だけでなく、中学を卒業してすぐから、大学院博士後期課程まで、学生といってもさまざま。当然採用の基準も就く職務も千差万別です。そこまでいわずとも、「大学学部生」だけに限っても、文系理系、偏差値の高低、地域と、「同じ大学生」と十把一絡げにできるほど条件は同じではありません。

資格そのものが無数にあり、就くべき職業が無数にあり、さらにそれを取得する学生もさまざまな立場にいる。ここまで変数が多ければ、統一した答は出ないというのがもっとも正確な説明だと思います。就職に必要(有利)な資格は特定できないのです。

結論からいえば実もフタモないことになりますが、ちょこっと勉強しただけで難易度の高い資格を取るのは無理でしょうし、誰でも取れる資格に恐らく価値は低いはずです。資格ウンヌンではなく、就く仕事で必要な能力を評価するのが資格です。そのロジックが成り立たないものは、当然就職に有利も何もありません。

3.営業に簿記?
営業職に就く学生が簿記を勉強するのはどうでしょう?営業に事務能力である簿記は役立ちませんか?とんでもないです。簿記は会計の基本。経営とは会計が成り立たなければ立ち行きません。つまり営業という業務そのものに直接役立つかどうかではなくとも、お客がどんな費目で買うのかとか、企業の収益構造から考えて見積りをどう設定するのかなど、間接的に営業活動に役に立たせることはできるのではないでしょうか。

こんな説明を面接でできたなら、資格そのものより、そうしたロジカルな考え方そのものに魅力を感じられることは十分あり得ると思います。資格に依存することはできないものの、資格を自らの能力証明に利用できる「思考」こそ、ロールプレイングゲームの武器のようなパワーアップアイテムといえるかも知れません。