飽食の時代と言われる現代社会、特に日本では餓えを経験することはほとんどないでしょう。いつでもどこでも簡単に食べ物が手に入り、お腹がすけば当たり前のように、ご飯やお菓子などを口にできるのです。しかし健康のためには空腹であるほうが良いことをご存知でしょうか。人間誰もが持つと言われる長寿遺伝子は、空腹状態の時に最も活性化し、満腹状態では働かなくなってしまうというのです。

長寿遺伝子の働き

長寿遺伝子はサーチュイン遺伝子とも呼ばれ、2003年に米国・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレン教授により発見されました。長寿遺伝子という名の通り、長寿遺伝子には 寿命を伸ばす働きがあるとされています。なぜ寿命が伸びるのか、それは長寿遺伝子には細胞を修復し若返らせる働きがあるほか、体内の活性化酸素を抑制し、動脈硬化や糖尿病、認知症などの病気を予防するなど、体の健康を守り老化のスピードを送らせる働きがあるからです。

長寿遺伝子はオンの状態にしないと働かない

ぜひその恩恵を受けたい長寿遺伝子ですが、残念ながらいつでも作用するというわけではありません。普段は働かずオフ状態となっているので、スイッチを入れて活性化させる必要があります。今のところ、スイッチを入れるために一番有効な方法とされるのが、カロリー摂取を制限すること。いつものカロリー摂取に比べ25%ほど制限し、これを3週間続けるだけで明らかな長寿遺伝子の活性化が認められると報告されています。ところで長寿遺伝子は人間の長い歴史の中で、飢餓に打ち勝つために身についた知恵ともいえます。何度と襲う飢餓に対し、長寿遺伝子が働くことで飢えに勝ってきたのです。このことからも分かるように、飢餓から守るために存在する長寿遺伝子は、満腹状態ではオフ状態となってしまうのです。

無理なくカロリー制限をするコツ

長寿遺伝子を活性化させるためには、食事は腹7〜8分目(キレイを目指すなら腹八分目!それってどのくらい?)に抑えて余分な間食を避け、カロリー制限をするようにするのが理想です。しかしただ食事の量を減らせばいいというわけではなく、必要な栄養はしっかり摂りながら、無駄なカロリーを減らしていくのがポイントです。また食事を減らしたために、空腹で余計に食べてしまったら意味がありませんよね。

カロリーを減らすコツとして、炭水化物や脂肪を減らすようにして、その分野菜を多く摂るようにすることです。これならカロリーを控えることができるうえ、しっかり食事の量が摂れるので、空腹で我慢できないという状態を避けることができるでしょう。サーチュイン遺伝子についてはいろいろな意見や研究報告がありますが、食べ過ぎないことで若返る、あるいは若々しくいられるという報告はサルなどの試験でも多数報告されていますので、興味深いですよね。


writer:Akina