昇格プレーオフへより有利な状況を維持するためにも最終戦では勝利が欲しいところだ。写真:サッカーダイジェスト

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 狙い通りに試合を進めても思うように得点を奪えず、守っては崩されてもいないのに失点し、手中に収めかけていた勝点を落とす。41節の松本戦は今シーズンの後半戦の戦いを象徴するような試合だった。
 
 井原監督は松本戦を控えて「もったいないゲーム、勝ち切っておかなければいけないゲームがあったし、内容的に勝ちゲームを結果に結びつけられていないゲームも多かった」と話していたが、自動昇格の可能性をつなげるための大事な一戦で、またも同じことを繰り返した。そして、この日の唯一のナイトゲームで長崎のJ1昇格が決定し、福岡のJ1自動昇格が消滅した。
 
 だが、昇格への道が絶たれたわけではない。3位に勝点7差をつけて前半戦を首位で折り返したことからすれば、自動昇格を逃したのは自滅と言わざるを得ず、松本戦終了直後の選手たちは一様に暗い表情を見せていたが、すでに4位以上が確定しJ1プレーオフ進出が決定しており、昇格のチャンスは依然として残されている。そして岡山戦は最終順位が決まる試合。より大きなアドバンテージを持ってプレーオフを戦うためには非常に重要な意味を持った試合で、自動昇格を逃したと言っても、勝たなければいけない試合という意味では何も変わらない。
 
 冨安健洋は話す。
「プレーオフに回っても勝てばいいわけなので何も変わらない。ただ、そうは言っても、今年の福岡は6試合勝てない時期もあり、勝つことが簡単ではないことは分かっている。勝つためにいい準備をして、高いモチベーションで試合に臨むことが大事になってくる。『勝てばいいでしょ』と簡単に考えるのではなくて、勝つために何をしなければいけないのかをチームとしても、個人としても考えて準備をしないといけない」
 
 1年間をかけて戦うリーグ戦はチームの総合力を争う戦い。41試合を終えて3位に位置しているということは、プレーオフに回るチームの中では総合力で上回っていることを意味する。ただその一方で、前半戦で見せていた、したたかで懐の深いサッカーが、いまの福岡から消えているのも事実なのだ。
 
 その要因は、得点力不足もさることながら、前半戦で11試合を記録した無失点試合が、後半戦は5試合と半減していることにある。プレーオフは引き分けならばリーグ戦の上位チームが勝ち残るというアドバンテージもあり、福岡にとって緻密な守備を取り戻すことが急務だ。
 
 気持ちをリセットした上で自分たちの原点に立ち返れるか。それが1年でJ1復帰を果たすうえでの最大の鍵になる。
 
取材・文:中倉一志(フリーランス)