シュータリングで先制弾を奪ったデューク・カルロス。それ以外にもポテンシャルの高さを随所に見せた。写真:平山俊一

写真拡大 (全2枚)

 デューク・カルロスのアイドルは、ロナウジーニョだったそうだ。圧倒的なテクニックと無限のアイデアでサッカーの喜びを全身で表現した、サッカー史に残る「魔法使い」。その妙味に憧れてボールを蹴って、技を磨いてきた。とはいえ、想い通りになるわけでもないのがサッカーである。高校3年生になって迎えた11月12日のJユースカップ準決勝。川崎フロンターレU-18の左サイドバックとして、躍動する彼を初めて観た複数の関係者が口をそろえてこう言った。
 
「ロベルト・カルロスみたいですね!」
 
 圧倒的な走力で左サイドを疾駆し、大砲を埋め込んだ左足から弾丸のようなシュートやクロスをぶっ放す。撃たれた弾丸の軌道は本人にも予測不能なほどで、まさしくGK泣かせ。ゴールネットが揺れたあと、GKが「ウソでしょ」という顔を浮かべるのも定番だった。そんなレジェンド級サイドバックのプレースタイルと、デューク・カルロスのそれは重なって見えたのだ。単に「カルロス」という名前が同じという話では、もちろんない。
 
 この日のJユースカップ準決勝・ガンバ大阪ユース戦でデュークが突き刺したゴールからも、同じ匂いが漂った。「ひとに合わせるというより、相手が嫌がるところに蹴り込む」というイメージで送り込まれた高速クロスが曲がり落ちてファーサイドネットを揺らす。当たり損ねで「入っちゃった」と振り返られるような、いわゆる“シュータリング(シュート+センタリングの造語)”とは趣を異にする弾道である。その直前のプレーでオフサイドで無効になったものの、GKのニアハイのバー下を叩いてネットを揺らす強烈無比な幻のゴールを突き刺していたことも、そうした印象を加速させた。
 
 G大阪戦は守備でも存在感があった。抜群のスピードと格段に向上した身のこなしの良さを利して、相手の右サイド攻撃を何度もストップ。能力の高さ、ポテンシャルの大きさをあらためて印象づけた。

【PHOTO】2018Jクラブ・新卒入団&昇格内定〜高校・ユース編
 U-17ワールドカップの日本代表入りは「粗削りに過ぎる」という評価で逃したものの、代表に絡み始めて(そして落選してしまった)今季初頭よりもプレーの精度・迫力ともに増した印象はある。来季からはファジアーノ岡山で新たな挑戦を始めることも決まっており、プロとしての覚悟を求められていることが、その進化を促したのかもしれない。
 
 無念の逆転負けに終わった準決勝についての感想からもそうした変化を感じさせるものだった。
 
「僕らは“自分たちのサッカー”にこだわり過ぎていた。もっと相手ありきだと思ったし、状況によってはつなぐだけじゃなくて(ロングボールを蹴って)もっと相手をひっくり返すプレーもあってよかった。時間帯によってのプレーもあったと思う」
 
 当たり前と言えば当たり前の考え方だが、彼が来季戦うJ2という場所、主導権を握れない試合も多くなる岡山というチームの立ち位置を思えば、不可欠の発想だろう。神様からの贈り物と言うべき圧倒的な能力と磨いてきた技術、そして勝利に貢献する選手に不可欠な発想とメンタリティ。プロのステージでの飛躍に向けて、デューク・カルロスの準備は着実に進んでいるように見えた。

取材・文 川端暁彦(フリーライター)