小平奈緒とイ・サンファの対決を取り上げる韓国メディアの報道

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11月10〜12日にオランダで開かれたスピードスケートW杯ヘレンベーン大会に出場し、初日と2日目の女子500mで優勝した小平奈緒。

W杯連勝記録を10に伸ばしたが、注目すべきは、この2戦とも、韓国のイ・サンファとの直接対決を制したことだろう。

五輪2連覇中のイ・サンファは、平昌五輪でも金メダルが期待されている存在だが、昨シーズンからは一度も小平に勝てていない。

イ・サンファにとって小平奈緒は、最大のライバルであるわけだ。

実際、今大会前には、ISU(国際スケート連盟)も公式ホームページで「昨シーズンは小平が表彰台を独占したが、世界記録保持者である五輪王者のイ・サンファもケガから復帰し、コンディションを取り戻した」と報じていた。二人のライバル関係には世界中が注目しているのである。
(参考記事:LEGOオタク!? グラビアも披露!? “氷上の女帝”イ・サンファの意外な素顔

立ちはだかる“日本の壁”に歯ぎしり

それだけに小平には、韓国メディアも関心を寄せている。

「“平昌五輪を輝かせるスター”スピードスケート・小平奈緒」と特集を組んだのは、『聯合ニュース』だ。

記事では、「五輪3連覇を狙う“氷上の女帝”イ・サンファにとって“最高の対抗馬”は、やはり日本の看板選手である小平奈緒だ」と切り出し、「小平は30代に入って潜在能力が爆発した大器晩成型選手」と経歴を紹介。

2010年のバンクーバー五輪と2014年のソチ五輪では「“イ・サンファの壁”を超えられなかった」としつつ、オランダ留学で実力を磨いた小平は、昨シーズンはイ・サンファが膝のケガで苦しんでいる間に“ワンマンショー”を展開したと綴った。

そして、イ・サンファとの直接対決で連勝を重ねていることに触れ、「小平は、500m自己最高記録こそ36秒75(日本記録)と、イ・サンファが持つ世界記録(36秒36)に0.39秒も遅れているが、恐ろしい快進撃を見せており、日本の女子選手として史上初となる冬季五輪での金メダル獲得を夢見ている」と締めくくっている。

歯ぎしりが聞こえてくるような論調だが、「五輪3連続金メダルに挑戦、イ・サンファに立ちはだかる“日本の壁”」(『朝鮮日報』)、「“氷上の女帝”イ・サンファ、日本のライバル・小平奈緒を倒してこそ金が見える」(『スポーツ朝鮮』)と小平をライバル視するメディアは少なくない。

中には、小平の“攻略法”を提言するメディアまである。

『スポーツソウル』は、「序盤の100mで圧倒しろ…イ・サンファ、小平奈緒に勝つためのキーワードは?」とヘッドラインを置いた記事で、「イ・サンファの勝負は序盤の100mだ。イ・サンファのように最短距離である500mに特化したレーサーは、スタートに続く最初の100mでどれだけ加速できるかが重要だ。膝のケガが完全に回復していなかった昨シーズンは、“序盤100m”が遅れたため苦戦した」と報道。

「対する小平は、1000m、1500mでも世界トップに立っており、中距離でも強り選手だ。序盤の100mよりはその後の400mで底力を発揮して記録を上げている」としながら、「スタートの100mで優位に立てれば、(イ・サンファの)五輪3連覇にも青信号が灯る」と分析している。

実際、イ・サンファは、昨年2月の世界距離別スピードスケート選手権大会で1位に輝いた際は、序盤の100mを10秒29で走り、他の選手に0.15秒以上の差を付けていたが、今回のW杯ヘレンベーン大会2日目のレースでは10秒40と記録を落としており、小平の10秒33にも及ばなかった。

「小平は生まれ変わった」「あと3カ月で追いつくのは不可能」

小平に対抗心を燃やしているのは、メディアだけではない。スピードスケートファンも小平には視線を送っている。

ネット上に書き込まれているコメントを以下に引用したい。

「小平はオランダでの特訓を経て、生まれ変わったようだ。練習と先進的なシステムの重要性がわかるね」
「2年間(小平に)一度も勝っていないのに“女帝”とは…」
「差が開きすぎているよ。あと3カ月で追いつくのは不可能だろうな」
「イ・サンファもオランダに留学しろ」
「小平もすごいけど、今もトップはイ・サンファだって信じている。平昌でそれを証明してほしい」
「イ・サンファは大舞台でこそ輝く選手。平昌ではやってくれるだろう」

小平の実力を認めつつ、イ・サンファの復活に期待する声が多いようだ。

「そんなに速いとは感じませんでした」

もっとも、イ・サンファ自身は小平のことをそれほど意識していないらしい。

今年10月にはこんなことを語っていた。

「(小平のことは)意識していません。良い選手ではありますが、ほかにも強い選手はたくさんいます」

「昨シーズンにコンディションが良くない状態で対決したときも、そんなに速いとは感じませんでした」

五輪王者の余裕が垣間見えるコメントだが、とはいえ、現在は小平が一歩リードしているのも事実だろう。

はたして、3か月後に迫った平昌五輪で勝つのはどちらか。

日韓ライバル対決から目が離せない。

(文=李 仁守)