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報道によりますと、11月9日の東京株式市場は、日経平均が一時、2万3,000円を超えておよそ25年10カ月ぶりの水準まで値上がりしました。しかし、午後に入ってから当面の利益を確定しようという売り注文などが急速に膨らみ、一転して値下がりし、1日の値動きが850円を超えて乱高下する展開となりました。

為替でも、「当面の利益を確定しようと」というのは、理由がよく分からないのに動いたときの常套句で、要は「何だったんだ?」ということです。ただし、過去からの為替市場での経験からすると、こうした理由の分からない「何だったんだ?」相場は、大口の利食いか損切りが出たときです。

今回の日経平均のように、「買いが厚いうちに売れ」とも言いますが、猛烈な勢いで買いの厚みが増したところを、待ち構えていた、多分外国人の利食い売りが浴びせられ、急反落したものと思われます。

為替の世界でも、突然ドカンと買いが出たり売りが出たりすることがあります。中でもよく見られるのは、例えば金曜に発表される米雇用統計の結果が予想外だった場合です。発表直後にロスカットが出ることももちろんありますが、週末良く考えて損切りを決意して、月曜の東京オープン、日本時間午前9時前後にロスカットを実行に移すこともよくあります。こうなると、全く唐突に突然ドカンとくるため、「何だ何だ?」ということになります。

○マーケットのオープン時に超大口の利食い・損切りが起こる理由

実は、この種の利食い、損切りのドカンは、東京オープンのみならず、ロンドン、ニューヨークといった三大マーケットのオープン時に散見されます。なぜなら、三大マーケットのオープン時は、流動性が極めて高く、超大口の利食い・損切りをこなしやすいからです。

利食いは、今回の株のような買いが厚いときにどんと出る場合もありますが、時間を掛けてゆっくりと余裕含みで出るときもあります。しかし、損切りには「できるだけ早くマーケットから脱出して、損失を最小限に止めたい」という逸る気持ちが働きますから、どうしても一発切りになりがちです。

ですから、ろくに理由もないのに短期間に大きく相場が動いたら、「ああ、そういう損切りの大玉が出ているんだ」と見るべきでしょう。

また、唐突にドカンとくるだけでなく、その前に試し打ちをしてくることもあります。小爆発があって、「あれ?」と思うものの、いったん静かになり、「何だ?」と思っていると突然大本のドカンがくることがあります。ですので、相場では、気になることは、決して気のせいにはしないということが、自らの身を守るための術です。

目の片隅にチラッと動くものを気づいたら、「何だ?」と確認するように、相場の動きの中でも、気になることがあったら決して無視しないことです。

一番怖いのは、油断です。全く、ノーガードでいることほど、怖いことはありません。

昔、ドイツのアウトバーン(オットバーンとも言います)という、ヒトラーが建設を命じたというスピード制限なしの高速道路網をわざわざイギリスから走りに行ったことがありました。

追い越し車線を時速180キロで走っていたところ、地平線でピカッと光るものをバックミラーに捉えました。「何だろ?」と言っている間もなく、時速300キロで走るドイツの高性能車が、ワーッとギリギリまで迫ってきて、バックミラーはその車で一杯になりました。

もう、慌てふためいて、やっとの思いで走行車線に逃れました。リスクとは、そういうものです。脇を甘くしていると、どこに危険が迫っているか分かりません。

○執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。