羽生結弦、ネイサン・チェン【写真:Getty Images】

写真拡大

平昌の金候補の一角、チェン陣営も五輪対決を待望「アドバンテージの話題などしていない」

 男子フィギュアスケートのソチ五輪王者、羽生結弦(ANA)はグランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯の前日練習中に転倒し、右足を負傷。欠場を余儀なくされた。66年ぶりの連覇がかかる平昌五輪へ影響が懸念されるが、金メダルを争うライバル陣営からも「健康になってくれることを望んでいる」「彼は大会に凄まじい息吹を注ぎ込んでくれる」と復活を望む声が上がっている。

 王者なくして平昌五輪は成り立たない。金メダルを争う陣営からも「ユヅル・ハニュウ」がリンクに立つことを望んでいる。

 声を上げたのは、昨季の四大陸選手権を制し、今季のGP初戦ロシア大会で羽生を破って優勝したネイサン・チェン(米国)のコーチ、ラファエル・アルトゥニアン氏だ。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、羽生の欠場を受け、「我々は彼が大会に出場できるように健康になってくれることを望んでいる」と語ったという。

 その理由は、王者に対する敬意に満ちたものだった。

「彼は大会に凄まじいほどの息吹を注ぎ込んでくれるんだ。アドバンテージについての話題などしていない。誰もが参加した時にこそ、大会は常に良いものになるんだ」

チェン自身も早期回復の祈り「競技仲間が負傷してしまったことを聞くのは嫌なもの」

 これまで多くの大会でしのぎを削ってきた。羽生がいなければ、金メダル争いで有利になる。そんな考えは微塵も存在せず、絶対的王者を筆頭に全員が全力を発揮できる環境こそ、大会は活気づき、より高いレベルでチェン自身も力を発揮できる。

 アルトゥニアン氏には、そうした考えが根付いているようだ。

 チェン自身も、羽生の早期回復を祈っている。羽生が欠場後、ツイッターを更新。「ユヅのことを聞いた。競技仲間が負傷してしまったことを聞くのは嫌なものだ。早期の回復を願っている!」と記した。GP第6戦のスケートアメリカに出場を予定している18歳は、リンクで“再会”することを望んでいた。

 チェンは今季、史上初めて5種類の4回転を完全制覇。「新4回転時代」の先頭を走り、前評判ではハビエル・フェルナンデス(スペイン)、宇野昌磨(中京大)、パトリック・チャン(カナダ)とともに羽生と金メダルを争う有力候補で、成長著しい存在だった。

 ファンも、ライバルも、羽生が万全の状態で平昌のリンクに立つことを願っている。