どんなに注意をしても、仕事でミスを犯してしまう理由

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 世の中には数学や物理などさまざまな法則が存在する。どれも歴史上の賢人や科学者たちが現代の我々に残してくれた“普遍的なルール”で、それは科学の分野にとどまらない。経済活動も人の行動も、世界はすべて“一定の法則”のもとに動いているのだ。

 今回、仕事のミスに役立つ法則を紹介。世界を支配する“ルール”を知れば、最小の努力で最大の成果が得られるはずだ。

◆1つの大事故の裏にある300の凡ミス

 どんなに注意していても、人は時に大きなミスを犯すことがある。だが、日々のケアレスミスが大惨事に繫がるとしたら? 米国のハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが提唱した「1つの重大事故の背後には29の軽い事故があり、さらに300のケアレスミスが存在する」という「ハインリッヒの法則」がある。

「彼は過去に発生した労働災害約5000件を分析し、『1:29:300』の割合で災害が発生することを突き止めました。以後、この法則は広く採用され、航空事故の予兆を知る法則として取り入れられています」(ビジネス書作家の水野俊哉氏)

 日々の小さなミスを見逃さないよう、己を戒めたい。

 また、いかなる人でも過ちを起こすことを証明するのが、心理学の法則の「判断のヒューリスティック」。

「『夜道で全身黒服の男が後ろからついてきた』と聞くと、多くの人は『その男は怪しい』と錯覚する。このように、人は特定の情報だけで物事を判断し、合理的な判断を下さないことも多いのです」(同)

 人間が合理的に行動しないことは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらが提唱する「プロスペクト理論」でも語られている。まず、下の2つの質問を考えてほしい。

<あなたはどちらを選びますか?>

●質問1
A:3万円がもらえる
B:25%の確率で15万円もらえるが、75%の確率で全くもらえない

●質問2
C:10万円を確実に損する
D:15万円を損する確率は75%で、損失ゼロの確率が25%

「質問1でA、質問2でDと答えた人は合理的な行動ができない人。実は『期待値』で考えると、Aは3万円、Bは3万7500円がもらえるので、Bを選択するのが合理的なのです。質問2の期待値は、Cがマイナス10万円でDはマイナス11万2500円ですから、Cのほうが合理的。ところが実際に実験すると、AとDを選ぶ人が大半でした。つまり人は、得をする選択肢では確実なほうを選び、損する選択肢では損を回避できるほうを選んでしまうのです」(同)

 いかに考え抜いても合理的に判断できないなら、思い切って直観に頼る手もある。

「神経学者のアントニオ・ダマシオが提唱する『ソマティック・マーカー仮説』によれば、人間は身体的な感覚から無意識に情報を得ることも多いため、頭で考えるより直観で選んだほうが正しい結果になることも多いのです」(同)

 一見リスクが多いと思える決断でも、思い切って飛び込むと好結果になるかも。

★法則の活用術:人は合理的に行動しない生き物。直観も大事

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