安倍首相と習近平国家主席が訪問先のベトナムで11月11日に会談。安倍首相は「新たな時代の日中関係の基礎をつくりたい」とし、習氏も「日中関係の新たなスタートとなる会談だった」と語り、関係改善に意欲を示した。政権基盤を固めた双方に思惑がある。資料写真。

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安倍晋三首相と習近平中国国家主席が訪問先のベトナム・ダノンで11月11日に会談。安倍首相は「新たな時代の日中関係の基礎をつくりたい」と提案。習氏も「日中関係の新たなスタートとなる会談だった」と語り、関係改善に意欲を示した。

尖閣諸島国有化に伴う日中関係悪化後、初めて会談した2014年11月以来、両首脳の会談は6回を数えるが、笑顔はほとんど見られなかった。ところが今回、両氏は笑顔で握手。安倍首相も笑みした。首相は会談後、「大変友好的な、くつろいだ雰囲気の中で率直な、胸襟を開いた意見交換ができた」と語った。

両首脳が日中関係の改善に舵を切ったのは両国の事情がある。安倍政権にとっては北朝鮮の核ミサイル開発を止めるためには中国の協力が欠かせない。朝鮮半島で紛争が起きれば日本への影響は甚大。安倍首相は「経済的な圧力強化など非核化に向けた努力で一致したのは大きな意義がある」と強調した。

経済的な意味もある。人口減少と構造的な潜在経済成長率の低迷にあえぐ日本にとって、世界最大の消費市場を有し、なお6%台の経済成長を続ける隣国・中国との経済的な連携強化が不可欠。習政権の広域経済圏構想「一帯一路(海と陸のシルクロード)」に対し、多くの日本企業が「バスに乗り遅れるな」と焦りを募らせている。

首脳会談では一帯一路を含め地域と世界の安定と繁栄にどう貢献するか議論していくことで一致。新華社通信によると、習氏は一帯一路に触れ「両国は実務協力のレベルを上げて地域経済の一体化を積極的に推進すべきだ」と呼びかけた。環境、高齢化、福祉医療などの課題が山積する中国にとっても、対中投資や技術開発などで協力を求めている。

日中首脳会談で両首脳は東京での日中韓首脳会談の早期開催で合意。さらに安倍首相の訪中と習近平国家主席の訪日についても実現に向け一歩踏み出した。中国の程永華駐日大使は「来年は日中平和条約締結40周年の記念すべき年。協議を重ね環境づくりを行いたい」と語っている。両首脳は、強い権力基盤を背景に歩み寄りを探り、新時代の戦略的互恵関係を追求している。(八牧浩行)