発想の転換が求められています(写真:xiangtao / PIXTA)

7年で年商100億円を実現する革新的な営業戦略

ひと昔前の時代は、年商100億円の企業をつくるためには2世代もの時間がかかっていました。しかし現代は、ゼロから始めた事業がわずか数年で年商100億円にまで成長する時代です。

その鍵を握るのが営業戦略です。

これまでのビジネスの場面では、営業に向いているのは文系出身者というのが常識でした。顧客との信頼関係を構築しながらニーズを把握し提案する能力が、どちらかといえば文系寄りのスキルだったからです。営業は文系王国ともいえる存在でした。

しかし、今、その王国が理系出身者に取って代わられようとしています。

その大きなきっかけをつくったのが、エンジニアリング分野で世界最高峰の大学であるMIT出身のマーク・ロベルジュ氏。私が監訳を務めた『アクセル――デジタル時代の営業 最強の教科書』の著者でもあります。彼は理系頭脳を使って営業活動を分析し、当時勤めていたハブスポット社の売り上げをたった7年でゼロから100億円へと急伸させました。

彼が見いだしたのは、営業スタッフ一人ひとりの生産性を上げるための方式ではなく、営業スタッフが集う場である「営業組織」の生産性を上げるための戦略でした。

実際、ここ4〜5年でアメリカのベンチャー企業の中には、文理融合型の営業方法が浸透しています。しかし日本は非常に遅れており、大企業でも導入率は2%程度ではないでしょうか。

営業マンがお客様に直接電話をかけたり、訪問したりして商品を売り込む従来の営業方法を「アウトバウンドマーケティング」と呼びます。

実は、このデジタル時代において、アウトバウンドマーケティングはあまり効果的な方法とはいえません。なぜかというと、お客様は興味がある商品についてインターネットやソーシャルメディアなどで自ら情報を集めることができるからです。その結果、問い合わせや資料請求といった形でお客様のほうから企業にアプローチするケースが急増しています。これを「インバウンドマーケティング」といいます。

実際、多くの企業はアウトバウンドマーケティングの効果は低下し、今後はマーケティングの効果が増大すると予測しています。にもかかわらず、営業努力の大部分をアウトバウンドマーケティングに注いでいるのが現実です。

インバウンドマーケティングに投資することが必須

短期間で年商100億円の企業に成長するためには、お客に見つけてもらえるよう、インバウンドマーケティングに投資することが必須です。

現在のグーグルの検索エンジンは、「インバウンドリンク」という特性を利用しています。インバウンドリンクとは、外部のWebサイトから自分のWebサイトに向かって設置されたハイパーリンク(クリックすると別のページやファイルを開くリンク)のことです。この特性によって、グーグルは、あるWebサイトにリンクする人が多ければ多いほど、そのリンクが重要であると判断します。

また、グーグルは、ソーシャルメディアに関する情報もアルゴリズムに加えています。多くの人がアカウントをフォローしたり、コンテンツを共有したりすればするほど、グーグルは、そのアカウント主である個人や法人が特定のテーマの思想的リーダーになる十分な可能性があると判断します。結果的に、そのテーマの検索結果で目立つところに位置づけするのです。

グーグル検索で上位に表示されることがビジネスに与える効果は計り知れません。その恩恵を受けるためには、あなたに対する多くのインバウンドリンクとソーシャルメディアによるアプローチが必要なのです。

それが実現すれば、あなたはグーグル検索によって有望なリード(最終的な販売成立・受注・成約に先行する問い合わせや見込み客)に容易に見つけてもらえるようになるでしょう。結果として、あなたのビジネスの需要は飛躍的に増え、売り上げは大きく変わるはずです。

インバウンドリンクとソーシャルメディアのフォロワーを惹きつけるための具体的な戦略には、次の2つがあります。

(1)良質なコンテンツ(ブログ、電子書籍、ウェビナー=Web会議など)を頻繁に作成する

(2)対象とするリードがすでに意見交換しているソーシャルメディアの話し合いに参加する

ブログやコンテンツ作成、そしてグーグル検索のアクセスを促進するためのソーシャルメディアへの参加は、インバウンドマーケティングの基本です。

いずれも簡単な方法ではあるものの、あなたが最も取り組みたいリードに、あなたのビジネスを見つけてもらいやすくなります。その結果、あなたは有益なソーシャルメディアの支持者や相当数のブログ購読者を獲得できるでしょう。

ただし、ブログを書き、ソーシャル・メディア・アカウントを取得して宣伝記事を投稿しても、すぐには大きな変化は起こりません。

インバウンドマーケティングの効果は、ダイエットとよく似ています。ダイエットを決意して1週間に3回、ジムに通っても、はじめのうちは体重はさほど変わらないものです。しかし、数カ月間、週に3回、ジムに通いつづければ体重は確実に減ります。

インバウンドマーケティングにも同様のことがいえます。数カ月間、週に何度かコンテンツを作成してブログに投稿し、ソーシャルメディアに参加しつづけていれば、結果は必ずついてくるのです。

実現するために必要な2つの手段

インバウンドマーケティングの考え方を知ると、企業の最高責任者たちの意識が変わります。彼らはすぐに、自分の会社や事業に関するブログを立ち上げようとします。ただし、社長や事業のリーダーがブログを書くと必ず失敗します。

なぜかというと、彼らは多忙であり、新たな優先事項が出てくるとブログの執筆が止まってしまうからです。つまり、経営幹部や事業のリーダーはそうした業務を引き受けてはいけないということです。

では、どうすればいいのでしょうか。いちばんの選択肢は、専任のジャーナリストを雇うことです。今は優秀なジャーナリストがフリーランスになっていますから、雇いやすい環境にあるといえます。フリーランスのジャーナリストが見つからなければ、ジャーナリズム学部のある大学の学生をインターンとして雇ってもいいでしょう。

もちろん、日本にもブログライティングを請け負う企業はあります。ただ、そうした企業はさまざまな会社のブログを書いているため、自社が納得できる記事を書きつづけることは難しいのが現実です。

経営幹部らはコンテンツの内容やプロセスを考案するのみで、それを遂行するのは専門家に任せること。それがインバウンドマーケティングを実現するための確実な方法です。

「思想リーダーシップ委員会」を組織する


ジャーナリストを見つけたら、次は「思想リーダーシップ委員会」を組織します。委員となるのは、経営幹部をはじめ、業界や商品についての価値提案や顧客のニーズなどを把握している社員、工業製品を販売しているなら技術系社員などが適任でしょう。

さらに、世の中にある程度、名前が通った人や、その商品を販売していきたいと思う分野の権威の方にも名を連ねてもらい、定期的にミーティングを開催します。その内容を専任のジャーナリストが取材してブログ記事に書くことで、良質なコンテンツを継続的に発信することができます。

次々とブログを発信していくうちに、ビジネスのリードはどんどん増えていきます。インバウンドマーケティング戦略を数カ月間、実行することは、ビジネスにこれまでの流れを一変させるような影響を与えるのです。