【レガシィ B4/アウトバック試乗】さらなる頂点を目指し、SUBARUの旗艦が“D型”へと進化!

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絶え間なく細かい改良の手を加え続け、より高い完成度を目指すーー。そんなスバルの真摯な姿勢を具現していることのひとつが“年次改良”。毎年1回ずつ、各モデルに改良が施され、進化していくのである。

年次改良を続けると開発の手を止めることができないため、メーカーとしては手間とコストがかかる。しかし同時に、毎年少しずつクルマをアップデートさせ、より完全なものへとつくり込んでいくという、大きなメリットもある。その背景にあるのは、メーカーの「少しでも良いモノをユーザーに届けたい」という気持ちである。

今でこそ、マツダや、日産「GT-R」、トヨタ「86」といったスポーツモデルにも広まった年次改良という手法だが、国産車として最初にやり始めたのはSUBARUだ。同社の各モデルはデビュー時には「A型」と呼ばれ、年次改良を繰り返すごとに「B型」、「C型」へとアルファベットが上がっていく。

2017年9月4日に改良を受けた「レガシィ B4」と「レガシィ アウトバック」は、最新モデルで「D型」となったので、3回目の改良を受けたことになる。そんな2台を、SUBARUが高度運転支援技術を磨き上げるために北海道の美深に新たに整備した、1周約4.2kmのテストコースで試乗してきた。

今回のD型への改良が、B型やC型への変化と異なる大きなポイントは、まず見た目の変化だ。エクステリアは前後バンパーやヘッドライト、アルミホイール、そして細かい部分では、ドアミラーのデザインまで変わっている(風切り音を低減するために小型化した)。

その結果、セダンのB4は精悍さが増した。そう感じさせるのは、バンパー下部の変更の効果が大きい。分かりやすい違いは、フロントバンパー左右の意匠で、フォグランプが丸形から角形へ変更されたこと。また、リアバンパー下部は形状が変わるとともに、ボディ同色からブラックへとカラーリングも変更された。細かい変更だが視覚的な効果は高く、スポーティで引き締まったルックスになったのだ。

一方のアウトバックは、フォグランプ周囲がより力強いデザインとなり、タフなギア感が強調された。B4はよりスポーティに、アウトバックはよりワイルドへと、両車のキャラクターがより強まったのが、今回のエクステリア変更の特徴といえるだろう。

車内に入ると、インテリアの上質感がひときわ増していることを実感した。大きな理由は、インパネ周辺の変化だ。インパネ表面に革巻きダッシュボードをイメージさせるステッチを入れるとともに、センター部分はナビとエアコンパネルがフラットに見えるデザインとし、フィニッシングの見栄えが大幅に向上。ナビはディーラーオプション設定だが、8インチとこれまでよりひとまわり大型のディスプレイを装着できるよう改良され、同時に、エアコンパネルは上下幅が薄いデザインへと改められている。この辺りは、今夏に大規模マイナーチェンジを施した「レヴォーグ」や「WRX」と同じ手法だ。

このほか、ステアリングホイールがひと回り小径化され、ステアリングヒーターが組み込まれたのもポイント。インテリアはクルマで移動する時にずっと視界に入る部分。だからこそ、インテリアの質感アップは外観の変更以上に満足度アップを期待でき、これからオーナーになろうという人にとっては朗報といえる。

しかし、これら内外装デザインの変更は、今回の大幅改良の中のメニューのひとつにすぎない。新しいD型では“先進安全”と“性能”も大幅にアップデートが図られているからだ。

先進安全装備としては、後方の障害物に接触しそうになると自動的にブレーキをかける後退時自動ブレーキシステムをはじめ、ステアリング連動ヘッドランプ、フロント&サイドビューモニター、状況に応じてハイビームの照射範囲を変化させるアクティブドライビングビームなどを新搭載。またリアビューカメラにステアリング連動ガイド線機能を追加したほか、高速道路での最高速度アップを踏まえ、クルーズコントロールの作動上限域を約120km/h(メーター読みで135km/h)まで拡大するなど、日常での使い勝手を高めているのも見逃せない部分だ。

そして真骨頂は、やはり目に見えない部分=走りである。ダンパーなどの設定見直しによる乗り心地と操縦安定性の向上、パワーステアリングの改良によるステアリング操作感の向上、トランスミッションとエンジン制御の改良による加速感と実用燃費の向上、そして、ブレーキブースター特性変更によるブレーキフィーリングの向上と、発進から旋回、減速、そして停止に至るまで、全方位にわたって手が入っているのだ。

こうした変更内容を大まかに記すだけでも、多くのスペースを消費してしまう。それは今回の改良が、それだけ膨大な手間とコストのかかったものであったことの証といえるだろう。

さて、D型となった新しいB4を、高速領域が中心のテストコースで走らせて感じたこと。それは、実に“馴染むクルマ”だな、というものだった。

エンジンは自然吸気の2.5リッターで、最高出力は175馬力だから、とびきり速いというわけではない。しかし、リニアトロニック(CVT)の改良やスロットル特性の変更で加速にダイレクト感が増し、発進から日本の高速道路での制限速度を超えるような領域まで一気に加速するシーンでも、ドライバーにとっては心地良さ、同乗者には快適を約束するスムーズさであることを確認できた。

またコーナリングは、自然なロール感が好印象。サスペンションは決して固めてあるわけではないが、ロールスピードの制御が巧みで、ドライバーにとって違和感なく車体が傾いていく。これは単に、操縦感覚が自然で爽快というだけでなく、高速道路でのロングドライブにおける疲労の軽減にもつながるはずだ。

限られた試乗時間を終え、クルマを降りた時に思ったこと。それは「ロングツーリングに出掛けて、短い試乗で感じた心地良さをもっとじっくり味わいたい」という願望だった。時間をつくり、近いうちに実現させたいと思う。

<SPECIFICATIONS>
☆レガシィ B4 リミテッド
ボディサイズ:L4800×W1840×H1500mm
車重:1540kg
駆動方式:AWD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:175馬力/5800回転
最大トルク:24.0kg-m/4000回転
価格:324万円

<SPECIFICATIONS>
☆レガシィ アウトバック リミテッド
ボディサイズ:L4820×W1840×H1605mm
車重:1580kg
駆動方式:AWD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:175馬力/5800回転
最大トルク:24.0kg-m/4000回転
価格:356万4000円

(文/工藤貴宏 写真/SUBARU)