トヨタ自動車(愛知)の細山田武史【写真:Getty Images】

写真拡大

かつては「牛丼」発言も…社会人二大大会制覇、斎藤佑樹の元女房が“第二の人生”で輝き

 社会人野球の日本選手権(京セラドーム大阪)決勝は12日、トヨタ自動車(愛知)が日本生命(大阪)を3-1で下し、3年ぶり5度目の優勝を飾った。「8番・捕手」で出場したのは、細山田武史。聞き覚えのあるファンもいるだろう。DeNA、ソフトバンクに在籍した元プロ野球選手。31歳は昨年の都市対抗に続き、社会人二大大会で“日本一ダブル制覇”を達成し、輝きを再び放っている。

 最後の打者を打ち取ると、日本一の輪の中心で、雄叫びを上げた。細山田は優勝をかけた決戦で4投手を1失点で好リード。投手戦をものにし、歓喜に酔いしれた。

 鹿児島城西高から早大に進学。3年春から鳴り物入りで入学した斎藤佑樹(現日本ハム)とバッテリーを組み、日本一に輝いた。大学日本代表に選ばれ、08年ドラフト4位で横浜(現DeNA)入団。しかし、正捕手候補と期待されたプロでは苦しんだ。ルーキーイヤーこそ88試合に出場したが、2年目以降は出場機会が減少。13年に契約更改で大幅減俸を提示された際には「食事は松屋か吉野家」と発言したことが、メディアに取り上げられ、話題を呼んだことがあった。

 13年オフに戦力外を通告され、トライアウトを経て、ソフトバンクに入団。しかし、育成契約。背番号は125だった。15年に支配下契約され、12試合に出場したが、オフに2度目の戦力外に。球団職員となる道もあったが、今度はトライアウトを受けず、新天地に選んだのが、社会人野球の名門・トヨタ自動車だった。

渡辺俊介、中田亮二ら在籍…社会人野球にとっても価値ある“元プロの移籍”

 1年目から早大の先輩でもあるエース・佐竹功年とバッテリーを組み、7月の都市対抗で優勝。プロ野球では果たせなかった日本一をいきなり成し遂げた。古巣のDeNAの試合観戦に訪れるなど、かつての仲間に刺激を受け、今年は社会人侍ジャパンに選ばれ、10月のアジア選手権に出場。そして、今回の日本選手権制覇――。社会人野球の頂点を極め、再び輝きを放っている。

 近年はプロ野球で活躍した選手が社会人野球でプレーする例は少なくない。“サブマリン”の愛称で知られ、WBCの優勝メンバーでもある元ロッテ・渡辺俊介は新日鉄住金かずさマジックに在籍。ほかにも、元中日の巨漢スラッガー・中田亮二はJR東海、元巨人・加治前竜一は三菱日立パワーシステムズ横浜など、多くの「元プロ」が新たな舞台で白球を追っている。

 選手にとって一概にいい面ばかりではないが、都市対抗、日本選手権はプロ野球に負けない動員力を誇り、大歓声でプレーできる。企業によっては正社員で受け入れるという場合もあるという。社会人野球にとっても、不況のあおりでチーム数は減少する中、元プロ選手から技術を還元されるという点では、レベルと認知度の向上の点でも価値がある“移籍”といえるだろう。

 今年もプロ野球は戦力外シーズンがひと段落。15日には合同トライアウトも行われ、結果的に第二の人生を“企業野球”に捧げる選手も出てくるかもしれない。細山田は「元プロの星」として新たな道を示している。