羽生結弦【写真:Getty Images】

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NHK杯欠場で米紙が展望「故障が彼に利益をもたらすかもしれないと信じている」

 男子フィギュアスケートのソチ五輪王者、羽生結弦(ANA)はグランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯の前日練習中に転倒し、右足を負傷。欠場を余儀なくされた。想定外のアクシデントに見舞われた王者。ディック・バトン(米国)以来、66年ぶりとなる五輪連覇の行方は――。米地元紙「ニューヨーク・タイムズ」が特集し、展望している。

 五輪開幕まで3か月。羽生にアクシデントが起きた。NHK杯前日練習で、4回転ジャンプの着氷の際に転倒。足首を痛めた。

 記事では、故障からスケート界で徐々に広がっていた衝撃の大きさを振り返っている。当初は大会出場の見通しだったため、「フィギュアスケートの世界ではドラマや危機感が起こる雰囲気は少なかった」と記述した。

 しかし、ショートプログラム(SP)当日の午前練習も参加できなかったことで、事態は深刻化した。羽生を応援する海外ファンもショックを隠しきれず、記事では「彼を熱心に応援するファンはショートプログラムの数時間前に集結した」と報じている。

 その中の一人、日曜日のエキシビジョンを見るため、日本にやって来たというルーマニア人の女性ファンは羽生のコンディションに関するニュースをチェック。「私は5分おきに時計をチェックしていました」と語っていたという。

 大阪市中央体育館に多数の報道陣が集結する中、羽生は姿を現さず。医師の判断で治療に専念することが発表された。特集では今後の動向も展望。5連覇を目指したGPファイナルを欠場する羽生の故障が、五輪連覇に追い風になるという意外な可能性を指摘している。

「王者の完璧さ」ゆえの挑戦心「4回転を6、7回挑戦という衝動を思いとどまらせるかも…」

「ある評論家たちは故障が彼に利益をもたらすかもしれないと信じている。彼のスケーターとしての完璧さが2度目、もしくは3度目、4度目の金メダルをもたらす可能性がある中、大会でも4回転ジャンプを6回から7回挑戦しようという衝動を思いとどまらせるかもしれない」

 通算12度の世界記録を叩き出してきた羽生が故障の影響で、難度の高い回転ジャンプの回数を減らすことで、スコアの安定につながるという分析だ。

 羽生は質の高い演技で、4回転の本数にこだわらずとも五輪連覇は可能とみられてきた。しかし、圧倒的に勝ちたいという目標を掲げ、妥協を許さない「王者の完璧さ」ゆえに挑戦を続け、GP初戦のロシア大会では4回転ルッツに初成功。さらなる進化を求めていたが、状態との相談でプログラムを見直す可能性もある。

 一方で、リスクも存在するという。大事を取って、平昌五輪まで大会出場を見送った場合、ぶっつけ本番となる可能性がある。

 その場合、「若い挑戦者、アメリカのネイサン・チェン、日本のショウマ・ウノという2人の壮麗なジャンパーはコンディションと試合勘での優位性を手にするチャンスを得ることになる」と羽生を追う立場の2人が試合勘で優位になると分析している。

 いずれにしても、五輪3か月前の大会欠場がこうして騒がれるのは、羽生がほかならぬV大本命にいることの証し。世界は一日も早い回復を待ちながら、万全の状態で平昌のリンクに立つことを望んでいる。