欅坂46『風に吹かれても』、2週連続売上首位の理由は? カップリング曲や販売形態から考察

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参考:週間CDシングルランキング2017年11月13日付(2017年10月30日〜2017年11月5日)(ORICON NEWS)

 11月13日付のオリコン週間シングルランキングで欅坂46の『風に吹かれても』が首位を獲得した。表題曲「風に吹かれても」の音楽面については以前こちらの記事(参考:欅坂46「風に吹かれても」のポイントは“狭く速いボーカル”? 楽曲の構造から読み解く http://realsound.jp/2017/10/post-121939.html)にて分析したため、当記事ではそれ以外のポイントについて書きたい。

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■シングルランキングで2週連続1位

 『風に吹かれても』はこれで発売週に次いで連続の1位となった。オリコンシングルランキングで2週連続1位を記録するのは去年の嵐『I seek / Daylight』以来で、昨今の音楽業界の状況を考えるとかなり珍しい事態である。近年のCDシングルランキングでは、昔のようにヒットしても何週も連続して首位をマークするということがめったになく、売り上げの大半が発売初週に集中する作品が週毎に1位の座をバトンタッチするのが常態化している。そうした“初動型”の作品は往々にして2週目からはランキングが急降下するものだが、『風に吹かれても』は2週目にもかかわらず昨今の一般的なシングル初週売上以上のセールスを継続できたことが今回の結果に繋がった理由だろう。もちろん、首位の売り上げが2桁万枚を記録するようなビッグネームやアイドルの新作がたまたまなかったことも理由の一つではあるが、最近では1桁万枚の作品が首位になることも珍しくないことを考えると、やはり今回の結果は特筆すべきものだろう。

■他のデータでも一定の成果

 また、欅坂46が強いのはやはりインターネット上であろう。YouTubeの再生回数は毎回爆発的で、今作も記事執筆時点(11月10日)で800万回を超えている。同日付のビルボードジャパンチャートでも2週連続総合首位を記録していることから、セールス以外のラジオやツイート数、YouTube再生回数といった点において一定の成果を上げたことがうかがえる。後述する「避雷針」のようなカップリング曲含め、こうしたインターネット上での話題性、拡散力が2週目以降の売り上げに一役買ったとも考えられるだろう。

■カップリング曲の魅力

 元来、シングルのカップリング曲というのは7インチレコードで販売されていた80年代頃までのA面/B面の名残りで表題曲の他に1曲だけ用意するものだが、近頃のAKB/坂道グループ関連のシングル作品は複数形態に合わせて5〜6曲が新録される。これは一般的なアーティストにとってみればミニアルバムほどのボリュームである。こうした充実した収録曲が、リスナーの購買意欲に多少は繋がったとも言えるのではないか。なかでも本作のTYPE-Cに収録されているカップリング曲「避雷針」は発売前からファンの間ではすでに話題となっていたため、MVのフルバージョンを求めて購入した例も少なからずあるだろう。

■従来イメージを踏襲した「避雷針」

 「風に吹かれても」がそれまでのシリアスな欅坂46のイメージを払拭した楽曲であったのに対して、「避雷針」はグループのパブリックイメージを踏襲した作風を保っている。歌詞の内容も非常に“今年の欅坂46的”であり、こうしたグループ像を保持した楽曲を表題曲の立ち位置と交差させることで、結果的には表題曲の自由度を広げている。つまり、グループとしてのスタイルを現在進行形で維持しつつも、外向けのイメージは刷新することを可能にしているのだ。

■表題曲の音楽的な特徴を裏返す

 前記事で書いた通り、「風に吹かれても」はシンプルな構造と寄り道しない展開であるのに対して、「避雷針」は転調を多用しサウンドも複雑で寄り道の多い展開、という真逆のスタイルを採用している。面白いことに、「避雷針」のベースが縦横無尽に動き回るリズム面であったり、文字量が多く速いボーカル面については、表題曲の特徴を裏返したような印象がある。小気味良い軽快なリズムがここでは荒れ狂う暴力的なベースラインに、音域が狭く速い譜割りの主旋律がここではさらに閉塞的・抑鬱的なボーカルに……。表題曲とカップリング曲のこうしたコインの表と裏のような関係性がシングルCDそのものに多面的な視点を与えているのだ。

■様々な要素を内包してゆくCD

 CDの販売形態は現在、非常に多岐に渡っている。通常盤と初回限定盤(通常盤のなかにも通常仕様と初回仕様とがあったりする)、イベント券の封入、収録内容違いの複数形態、DVDの付属、ランダム特典の封入、店舗別特典……とかなり複雑化している。そして、AKB/坂道グループ関連の作品はこれらのすべてが揃っている。今回のシングルはそうした“企業努力”がさらに強まり、楽曲間の相互に関係性を持たせ、シングルひとつとってみてもカップリング曲を含めた複数曲の要素を絡ませた状態のパッケージになっている。もっとも、それはこの作品に始まった話ではない。が、そうした性質を持ったシングルが2週連続1位を獲得したことは、今後も注目しておくべき事実である。(荻原 梓)