日本はブラジルに完敗したが、後半にはポジティブな要素もあった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[親善試合]日本1-3ブラジル/11月10日/リール(フランス)

「私のコメントには二面性がある」という言葉を皮切りに、ブラジル戦を振り返ったヴァイッド・ハリルホジッチ監督。日本代表のプレーは、ナイーブな前半と、アグレッシブな後半にはっきりと分かれた。
 
 45分間の違いについて、槙野智章は次のように語る。
 
「前半と後半で大きく変えたのは、自分たちからアクションを起こすところ。それをできたのが後半ですね。前半は慎重に受け身で入ってしまったのはあります。吉田選手を含めて後ろの選手は、前半の入りで失点しないように心がけていました。
 
 結果的にビデオ判定でPKを取られてしまったけど、その後も前と後ろのバランス、意思疎通は常に図るように声掛けをしました。1失点しようが、2失点しようが、大崩れすることなく自分たちからアクションを起こそうとはしましたが、相手も質が高いですし、(そのまま前半の)45分間が終わってしまった。
 
 ハーフタイムに『こういう試合だからこそ楽しんでいこう』と、長友選手を含めて言いました。受け身にならず、自分たちからアクションを起こそうとした後半は、フレッシュな選手も入ったことで、前からアクションを起こすことはできたかなと思います」
 
“自分たちからアクションを起こす”。これは具体的に何を示すのか。
 
「今日の試合から逆算して、リトリートする、ブロックを作ることは練習でやってきました。そのなかで、どこにブロックを引くか。ライン設定のところですけど、吉田選手を中心にかなり高めにラインを設定したつもりです。ただ、もう少し、ラインを設定するなかでも、ボールに対してアクションを起こす選手を、後ろから押し出して行くことが大事だったと思います。ブロックを引いて下がるだけじゃなくて、ボールを奪いに行くところ。そこはやらなければいけなかったと思います」
 
 単純に高い位置からガンガン行く、ということではなく、守備ブロックをコンパクトに整えた状態から、ボールを奪うアクションを起こす。それが前半は出来ていなかった。ファーストディフェンスが曖昧で、プレスのスイッチが入らない。相手に付いて行くだけ、見ているだけ。
 しかし、後半は変わった。開始直後から井手口陽介がマルセロに猛然と突っ込み、これは華麗なルーレットでかわされたものの、寄せ切ったことで他の選手が第2、第3のプレスに行き、ネイマールのミスを誘った。そして大迫勇也が回収したボールを、浅野拓磨がシュートに持ち込んでいる。
 
 ムードが変わるきっかけになったはず。50分には最終ラインでボールを持ったジェメルソンに対し、井手口が勢いよく寄せると、この左センターバックは大きくラインの外へ蹴り出すしかなかった。珍しい様子。この試合、井手口にはアンカーのカゼミーロを見る役割が与えられたが、機を見てマークを捨て、大迫に連動してひとつ前のセンターバックを追い込む。このようなプレスは前半にはあまり見られなかったが、行くタイミングさえ周りと合えば、ブラジルからもボールを奪うことは充分にできた。
 
 ビデオ判定のPK、クリアミスと、意外な形で2失点を喫し、前半の日本はプレスのスイッチを入れることも、ボールを受けることも怖がってしまった。後半はその点が修正された。
 
 ただし、本来はここがスタートラインだったはず。ハーフタイムの修正といっても、マイナスをゼロに戻しただけ。後半に復活したチームで、前半を戦いたかった。その点は何より、選手たちも心残りだったようだ。
 
 より継続的な課題として、カウンターへの対処もある。
 
 ブラジル戦ではボールを失った状態からカウンターを食らい、何度もピンチに陥った。36分には久保裕也がボールを奪われ、失点につながっている。これはブラジル戦に限らず、10月のハイチ戦も同様だ。敵陣に押し込んでボールを失った時、中盤が一気に置き去りにされるケースが多発している。プレスバックし、守備ブロックを回復する判断とスピードが間に合っていない。「縦に速い」がコンセプトのチームだが、まさにそこで攻守ともに負けている。
 
 攻撃時のポジションのバランスを含め、ボールを失った時にカウンタープレスに行くのか、それとも戻って守備ブロックを回復させるのか。その判断がまだ曖昧で、解決されていない。ベルギー戦でもポイントになるだろう。

取材・文:清水英斗(サッカーライター)