9年ぶり2度目の選手権出場を決めた大阪桐蔭。勝負強さを身に付け、檜舞台での躍進を期す。(C)TAMURA PHOTO

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 何度挑んでも重く閉ざされていた選手権のドアを、大阪桐蔭がついにこじ開けた。実に9年ぶりだ。
 
 2005年の創部ながら、日本代表まで駆け上がったDF三浦弦太(G大阪)など、これまで11人のJリーガーを輩出。12年にはインターハイで3位入賞を果たしたこともある関西有数の強豪だが、選手権への出場は08年度の1回のみ。「うちはトーナメントに強くならないといけない」と永野悦次郎監督が苦笑いしていたように、強さとともに大事な所で勝ち切れない脆さが同居するチームでもあった。
 
“今年こそ”との想いが強かった17年度は、クラスでもトップクラスの成績だというMF西矢健人(3年)や、GK藤本諒哉(3年)など賢い選手が多数在籍しており、春先に永野監督は「目指すのはフィジカル要素ではなく、考えて頭脳プレーで戦える集団」と口にしていた。「パス回しでボールを獲られない」とFW今岡陽太(3年)が胸を張るように技術力が高い選手が多い。新チーム結成直後のフェスティバルでは白星を重ねたが、タイトルが近づくと、これまで同様に結果が残せず、成績は3位ばかり。「3位は落ち込むこともなく、“もうちょっとでやれたのに”と錯覚する成績」と永野監督が分析する。タイトルを掴めていないにも関わらず、自分たちの力を過信するような雰囲気があったという。
 
 浮ついたチームが勝ち続けられるほど現実は甘くなく、プリンスリーグ関西の開幕戦では、京都橘に1-5で完敗。屈辱的とも言えるスコアをバネにし、一度はチームが上を向いたが、インターハイ予選は決勝リーグまで進みながらも、再び3位で終え、またしても全国行きの切符は掴めなかった。 
 
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 転機となったのは、6月に挑んだ近畿総体(インターハイの近畿大会に相当)だ。準決勝の東海大仰星戦で逆転勝ちを収め、鬼門だった3位の壁を突破すると、続く決勝の京都橘戦も延長戦の末、1-0で勝利。「挫けず最後まで顔を上げながら、考えて行動してくれた」と指揮官が称える試合内容を見せるとともに、勝つために何よりも大事な「気持ちを込めて、勝つんだという姿勢を見せてくれた」(永野監督)。

 念願のタイトルを手にしてからはチームがひと皮むけ、近畿総体以降のプリンスリーグ関西は、8勝1分けと負けなしを維持。今岡が、「粘り強さや勝ちきる強さを身につけているのかなと思う」と口にしたように、これまでの勝負弱さを感じさせない力強いチームへと変貌を遂げた。
 変わったのはチームだけではない。

 今予選では、個人の成長も目に付いた。「変わらなければいけない」と永野監督からハッパをかけられていた今岡が履正社との決勝戦で決勝ゴールをマークしたほか、主将の西矢も「自分がやらなければいけないという想いが強かったけど、9月頃からチーム全体で何とかしようという意識が強くなったように思う。アイツが変わったのがチームにとって大きかった」と藤本が評するように精神面で成長。チーム全体として「目の前の相手に1対1で負けない意識が強くなった」(今岡)ことも、勝ち上がりを支える原動力となった。
 
 2度目の選手権出場は、決して偶然ではない。タフな戦いをモノにし、逞しさを増したチームと選手だからこそ掴めた栄誉だ。

 全国の舞台ではより厳しい戦いが待ち受けるが、今の彼らなら根気強く戦えるはずだ。9年ぶりの歓喜に満足することなく、次は日本一というふたつ目のドアを開ける!

取材・文 森田将義(フリーライター)