好セーブを連発した関東一の北村海チデイ。本大会でもそのプレーに注目が集まる。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)

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 昨年の全国高校サッカー選手権から早1年。開幕戦で観衆を沸かせた守護神が大舞台に戻ってくる。関東一のGK北村海チデイ(2年)だ。
  
 11月11日に行なわれた東京A決勝で関東一は成立学園を1-0で撃破し、2年連続2度目の出場を決めた。最終盤に生まれた重田快(3年)のゴールで勝利を手にしたが、序盤はピンチの連続。とりわけ、前半10分に関東一ゴールを襲った右クロスからのヘディングシュートは、この試合で最も決定的な場面だった。しかし、そこで立ちはだかったのが北村だ。抜群の反射神経を見せ、チームを救うビックセーブ。キックミスなど技術的な修正点はあったものの、それ以上に印象的な高い身体能力を活かしたパフォーマンスでチームの勝利に大きく貢献した。
 
 彼の名が全国に知れ渡ったのは1年前の選手権。セカンドGKとしてベンチ入りを果たした野洲との開幕戦で、特大級の輝きを放った。正GK内野将大(現・東農大)が負傷したため、後半14分から緊急出場。公式戦2試合目のルーキーは急な出番にもかかわらず、好プレーを連発して関東一に選手権初勝利をもたらした。
 
 名を上げた北村はその後も大会でゴールを守り、新チームでは正式に守護神の座を奪取。ナイジェリア人の父と器械体操をやっていた日本人の母を持つ男は持ち前の運動神経を生かし、関東一に欠かせない存在として評価を高めていった。
 
 そして、迎えた夏のインターハイ。この経験がさらに彼を成長させた。チームは順調に勝ち上がると、準々決勝で名門校・市立船橋と対戦。結果は1-2の敗戦となり、大会を去る形となった。しかし、その一戦で北村は自分の未熟さに気づかされたという。

「立ち上がりに自分たちがふわふわしてしまって、やられるべきところでやられた。その後に自分たちで修正をしたけど、一瞬の隙から2失点をしてしまった」。

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 この敗北で中心選手としての自覚が芽生えた北村。今までの立ち居振る舞いを見直し、北村はインターハイ以降、コーチングの質を変えることに着手した。
「立ち上がりのプレーで味方がミスをした時に、自分の声のトーンを変えて怒るようになりました。そういうやり方でチームの雰囲気を引き締めたりするようになったと思います」
 
 自分はチームを引っ張る立場にある――
 これをきっかけに北村は大きく変わった。今までであれば、下級生ということもあり、チームメイトを激しく叱責することは皆無。しかし、自らが主体性を持ってプレーすることの重要性に気づいた2年生GKは、誰よりも声を出すようになっていった。
 実際にこの決勝でも北村は誰よりも声を出していた。自分たちの守備時だけではない。味方の攻撃中にも周りに言葉を掛けていた。至る所で力強くチームを引っ張るべく振る舞い、そこには1年時のようなおとなしい姿はなかった。
 
 逞しさを身に付けて挑む2度目の選手権。174僂GKでは決して大柄でないが、自覚がもたらした”コーチング”が今の北村にある。そして、身体能力を活かした守りでも、デ・ヘア(マンチェスター・U)などのプレーを参考に自らの武器を磨いてきた。昨年のチームでシンデレラボーイと称された守護神は、チームをさらなる高みに導けるだろうか。
 
取材・文 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)