連動性とは、意思をつなぎ合わせることです。ある選手が「プレスをかけられる!」という意思を持ったら、その瞬間にそこから淀みなく波が広がるように周りの選手が意思を汲んでつながっていく。ある選手が相手守備陣にスペースを見つけ「ここ!」と感じたら、そこへの道筋を瞬時に複数の選手でイメージしてかさにかかっていく。
 
 攻守においてどこか相互の意思のつながりを感じない、それが最近の日本代表の課題でしたが、やはりここで表面化しました。アジアではそれでも守れて得点が取れたわけですが、世界のトップ相手には必要不可欠ということです。

 あと7か月で、その意思を通わせるレベルをどこまで上げられるか。試合数を見れば足りない気もしますが、経験のある選手を中心に擦り合わせてほしいです。つまり、「頑張ろう!」「戦おう」の前の「いつ」「どのように」という部分をより緻密に、より具体的にして相互をつなぎ合わせてほしいと思います。
 後半の戦いに、その片鱗は見えました。前線の選手たちが「ここだ!」と感じたら強い意思を見せてプレスをかけたり、中盤の選手が「取りどころ」と感じたら自分のマークを捨ててひとつ前にプレスをかけたり、あるいはプレスバックしたりしていました。それに近くの選手たちから連動していったいくつかの場面は、ブラジル代表がモチベーションを落としたことを差し引いても、自分たちで変えられた部分だったと思います。
 
 そういう意味ではもう一度、世界のトップレベルとすぐに試合ができる現地14日のベルギー戦は貴重な機会です。後半に少し感じたであろう意思がつなぎ合わされた時の感覚を成功体験としてチームで共有するためにも、前半の戦いが大事になります。
 
【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。