前半だけで3ゴールを奪ったブラジルは、後半に入ると"流し"ていた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[親善試合]日本1-3ブラジル/11月10日/リール(フランス)

 評価の難しい試合でした。選手たちの言葉を借りれば、ブラジル代表は「強かった」。得点が生まれるにつれてブラジル代表は「モチベーションを落とした」。私にもそのように見えました。よって、それに対峙した日本代表は「前半は悪かった。後半は良かった」とは言い切れないものがあります。
 
 日本は前半、プレスに行かなかったわけではありません。むしろ、勢いよくプレスをかけようという意思を見せて試合に入りました。
 
 プレスのかけ方自体もこれまでのハリルホジッチ監督のやり方から大きく変更があったわけではありません。まず「相手」を基準にポジションを取りポジションを取り、1対1の激しいデュエルで応戦する。アジアとの戦いから変化があったとすれば、マーク役を明確にしたことでしょうか。カゼミーロ選手を井手口選手、ジュリアーノ選手を山口選手、フェルナンジーニョ選手を長谷部選手とマークする相手を決め、それによって中盤の形はダブルボランチとなり、日本代表のシステムは4-2-1-3のような形になりました。
 
   守備において日本代表は狙った部分を出そうとしていたと思います。サイドに誘導して、そこでデュエルの強度を上げてボールを奪う。その意図は見えました。しかし、問題はそれ以上にブラジル代表の選手たちのスキルが高く、かつ速かったことです。よって、本来ならボールを取れる狭さにまで相手を追い込めていたのに抜け出されていました。
 
 開始して勢いよくプレスをかけた日本。それに対し、ブラジル代表は2分、5分と2回そのプレスをかいくぐると、その2回ともビッグチャンスになりかけた場面を作りだしました。
 
 この2回と失点。そして、15分あたりに発動したカウンター1本でまた一気にビッグチャンスに持ち込んだことで、ブラジル代表は日本代表の選手たちの足を止めることに成功したのです。
 
「プレスにいってもボールを取れない」「攻めにいくとカウンターを受ける」
 
   実際、ブラジル代表の「ここ!」を見つける目とそれを共有する意思疎通、そして共有したイメージをピッチで実現できる技術は見事なものでした。そこには日本代表とまだまだ歴然の差があることを見せつけられました。
 攻撃面も同様です。ボールの運び方、ビルドアップに関してはチームとしてある程度狙いをもってやっていたと思います。ボールを奪ったら素早く大迫選手を見る。そこで収まれば、落としたボールを両ウイングがゴール方向に斜めにランニングして受ける。遅攻になったら、相手のワンボランチ、カゼミーロ選手の脇、もしくはネイマール選手の背後に侵入して突破口とする。
 
 問題はその先にありました。その先の日本代表の攻撃はどこか行き当たりばったりで、息の合った連動した攻めで、ブラジル代表の守備陣を慌てさせるような場面はほとんど作れませんでした。
 
 それらはこれまでも散見されたものでしたが、アジアの戦いであれば、あれくらいのプレスでボールを奪えていました。カウンターは最近ハイチにもやられましたが、アジアでは起点を作られてもそうそうゴール前まで入られませんでした。攻撃で連動性が見られない時でも個で崩すことができました。
 
 今回は、まさにこの”これまで以上”や”世界のトップ”を体感するための試合だったわけなので、そういう意味では意味のある試合となりました。
 
 長い時間をかけて作られたハリルホジッチ監督の日本代表。そのやり方に賛否あろうと結果はワールドカップが終わるまで分かりません。そのやり方が世界と戦う上でどうか、の議論に今は意味がなく、考えるべきはこのベースのなかでの連動性を上げていくことでしょう。