2016年映画界に旋風を巻き起こした、アニメーション映画『君の名は。』。新海誠監督によるこの作品は、興行収入230億円というメガヒットとなりました。そんな新海監督のデビュー15周年を記念する『新海誠展―「ほしのこえ」から「君の名は。」まで―』が、本日11月11日から、12月18日まで東京・六本木の国立新美術館で開催されます。

一般公開に先駆けた記者発表会に登壇したのは、新海監督と俳優・神木隆之介さん。神木さんは映画『君の名は。』で主人公の声を演じ、今回の展覧会で音声ガイドのナレーターも務めています。

記者発表に登壇した、新海誠監督(左)と神木隆之介さん(右)。

ちなみに、この会場である国立新美術館は『君の名は。』にも登場。神木隆之介さんが演じる高校生の瀧と、長澤まさみさんが演じた奥寺先輩がデートをする場所です。

「国立新美術館は、東京の象徴のひとつであり、風景として圧巻の建築物です。高校生には少しだけ敷居が高い場所として描きました。まさかその1年後、『君の名は。』も含めた過去作品の展示は想像もしていませんでした。すごく光栄であると同時に、日本の中でアニメーション映画の受け取られ方が少し変わってきたのかなという思いです」と語る新海監督。

新海作品の軌跡を神木さんが解説。「ほとんどの作品を、何十回も見返しています」と語る。

しかも国立の美術館で、現役のアニメーション監督の展覧会が行なわれるのは史上初。

展示は、新海監督の幼少期からの創作の軌跡を余すところなく紹介。絵コンテ、作画資料、美術、映像、音楽、造形物などがズラリと展示されています。この展示は全国を巡回しており、新国立美術館が3か所目。

特別なキュレトリアルチームを編成し、「映像制作の舞台裏」はもちろん、「キーワードで読み解く作品世界」や「新海誠と時代背景」などといった、新海誠監督のクリエーションの歴史にもクローズアップしています。今までのどの会場よりも広い展示空間に合わせ、展示物は約1000点。初公開のものも多く含まれます。

より深く、新海作品を知るために、マストなのは神木隆之介さんによる音声ガイド。新海監督も「音声ガイドは神木君以外ありえない」と語っていました。

音声ガイドの貸出料金は550円。神木さんの個人的な作品の感想も語られ、より深く作品の魅力がわかる。

「音声ガイドは初めての経験で、難しかったですね。一緒に展覧会に行って、相手の様子を見ながら説明するのとはわけが違い、人それぞれ、聞き心地がいい速度があります。聞いた方が、心の中でもやっとするリズムになっちゃいけないな……と悩みながらやっていました。あまりに淡々としすぎても、感情が入ってもダメですから、難しかったです」(神木さん)

実際に音声ガイドを聞きながら、会場を巡ると、新海作品の大ファンだという神木さんならではの愛情あふれる解説、そしてマニアックなクイズの出題もあり、まるで一緒に見ているかのような楽しいガイダンスでした。神木君とデート気分で楽しめます。

新海作品を紐解く、数々の展示物

「会場に入るとワーッとなっちゃって、言葉が出ませんでした。監督の作品は、風景が写真のように美しく、初めて作品を観た時は写真なんじゃないかと思いましたが、この展覧会で原画を見て、本当に人の手で1本1本の線を描いているんだと実感しました。作品の配置の仕方や、監督自身や作品のことがとてもよく知れて、ずっといたい空間でした。たまらない展示になっていると思います」(神木さん)

展示はデビュー作『ほしのこえ』からスタート。美しく壮大な世界ですれちがう男女の物語という新海作品のテーマを感じる。

「絵は僕が描いているというよりスタッフが心血を注いでいるものなので、彼らの戦いの軌跡のようなものを感じでいただければ嬉しいし、そういう展示にしていただいたなと思いました。展示の内容は、基本的に映画作りにおいて、スタッフのコミュニケーションのトライアルの過程を見ていただくもので、なかなかスタッフ以外の方に機会がありません。展示を通じてどうやって何を伝えようとするかの過程をご覧いただいてもらえれば、何らかの形で製作チームに伝わるでしょう。それを受けて、また新しい作品を作っていければと思います。私達の制作チームと会話を一緒にするようなつもりで、来ていただければとても幸せに思います」(新海監督)

『秒速5センチメートル』の美術背景。気が遠くなるほど細かく書き込まれている筆致にため息。絵コンテにはリアリティーを出すための光の入れ方など細かなメモ書きが。

『秒速5センチメートル』の登場人物・香苗の制作過程。

『君の名は。』で印象的だった、新宿から糸守までの風景描写を立体的に説明した展示。

『星を追う子ども』に登場する鉱石ラジオの立体展示。

『言の葉の庭』の主人公・靴職人を目指す高校生のタカオがデザインした靴。

新海監督の作品背景も本展では詳しく解説。小学校時代に最初に使った、シャープのパソコン「MZ-2000」とお気に入りだった絵本「すてきな三にんぐみ」。

現在の新海誠監督の仕事風景も再現。

撮影可能なスポットも。『君の名は。』に出てきた国立新美術館の糸守の背景パネルの前で、記念撮影。

この展覧会では、デビュー作の『ほしのこえ』、『雲のむこう、約束の場所』、『秒速5センチメートル』、『星を追う子ども』、『言の葉の庭』、『君の名は。』の各作品を新海作品のビギナーでも、より深く魅力がわかる展示がされて、新海誠監督の世界観とアニメーション作品の魅力を紹介しています。

11月11日から12月18日まで東京・六本木の国立新美術館で開催以降は、北海道・札幌芸術の森美術館、福岡・北九州市漫画ミュージアムほか全国を巡回予定です。

『新海誠展―「ほしのこえ」から「君の名は。」まで―』
開催期間:2017年11月11日(土)〜12月18日(月)
会場:東京都六本木  国立新美術館 時間:10:00〜18:00(金、土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜 料金:一般1600円 大学生1200円 高校生800円