20〜30代の独身女性の彼氏がいない確率が50%を超える今。いつの間にやら少数派になった彼氏持ちの女性の中には、彼氏はいるもののセカンドポジションのまま、いつまでたってもファースト(本命)になれない女性たちがいます。彼女たちが本命になれない原因は何なのでしょうか……。彼女たちの過去の恋愛から、その原因を探っていきます。

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今回お話を伺ったのは、都内で派遣スタッフとして働いている木戸純子さん(仮名・35歳)。キレイな栗色のボブヘアに、きめ細かい白い肌を持つ、清楚な雰囲気のある女性です。化粧や服装に派手さはないものの、赤とゴールドのネイルがひと際目立っています。「ネイルは気持ちが滅入ってた時期に始めたもので、今も女性としての部分を奮い立たせてくれるんですよ」とのこと。控えめな女性らしさを感じる、純子さんのセカンド気質はどこにあるのか――。生い立ちや、学生時代の恋愛から話を伺っていきます。

「出身は埼玉県で、両親と3歳上の姉との4人家族です。父親はサラリーマン、母親はパートの兼業主婦といった普通の家庭ですよ。姉とは小さい頃はよくケンカをしましたね。3歳上だったので、中学では制服や体操着などのお古がそのままスライドしてきて、それが嫌で嫌で……。姉のせいではないのに、腹いせに姉の私服を勝手に着て、それが原因でケンカになってました。それから姉との仲は険悪で、私が大学生になるまでは口もほぼ聞いてなかったですね。お互い頑固だったんです」

初めて彼氏ができたのはいつですか?

「高校2年の時です。好きな人がクラスメイトにいたので、告白して付き合うことになりました。私は思ったことをためておけないタイプで、好きになったら猛アピールしました。彼は帰宅部だったので、家の近場でアルバイトをしていたんですよ。その場所を探し当てて、私もそこでアルバイトを始めました。私の家からは2駅ほど離れた場所だったんですけどね。そこからどんどん仲良くなって、という感じです。彼はカッコよくて、クラスでもそこそこ人気があったので、とにかく接点を作りたかったので。彼とは結局、高校卒業までにケンカが増えて、どちらも意見を変えられずに別れました」

大学時代は友人、新しい彼氏にも恵まれ、青春時代を謳歌していた中、病が純子さんを襲います。

純子さんはその後無事に志望校に合格。新しい彼氏もできて、順風満帆な大学生活でしたが、2年の時にこれからの人生を左右する災難があったそうです。

「大学ではテニスサークルに入って、そこで1年上の新しい彼氏ができました。彼はそこまでカッコいい人ではなかったんですが、とても優しかったんです。私が遊ぶ約束をドタキャンしても、気分じゃないと予定を急遽変えても、全然怒らなかったんです。仏のような感じでした。私も誰よりも彼と一緒にいることがすごい居心地が良くて、このまま彼と一緒に居れたらいいな〜と思っていた矢先に、私に病気が発覚しました。そこまで詳しくは話したくないんですが、子宮の病気で、発覚した時には全摘出しか選択肢が無くて……。20歳の時にその手術を受けて、その後の治療のため数か月入院しました。学校はもちろん休学になり、病気のことは当然大学の友達も知ることになりました。詳しい病状については、私から話さなければ友達も聞いてこなかったのでほとんどの人は知りません。彼にはすべて話しました。彼は私のすべてを受け止めようと、2日に1回のペースで病院に通ってくれました。この人と付き合って本当に良かったと心の底から思っていましたね」

両親や姉、彼に支えられた入院生活は寂しくはなかったものの、友達との差を感じて、あたってしまう日々も多かったと言います。

「今でこそ笑って話せますが、当時はけっこう荒れていました。大学のみんなは普通の大学生活を送っているんだなと思うと、病室でジッとしていなければいけない自分が惨めで……。でも母親は私の病気でパートを辞めて、私につきっきりだったし、金銭的なもので父にも迷惑をかけてしまっていたので、両親の前では気丈に振る舞うしかできなくて……。

高校までは険悪だった姉との仲が戻ったのも私の病気がきっかけでした。そこから姉とはどんどん仲良くなるんですが、あの頃はまだ本音を話せるような関係じゃなくて……。私は辛さの鬱憤のすべてを彼にぶつけてしまっていたんです……。学校に行きたい辛さを泣き叫びながら彼に手をあげたこともありました。彼はそれでも私の側にいてくれたんですが、私は彼にあたってしまう自分がさらに嫌になっていたので、彼にお見舞いの日を減らしてくれとお願いしました。それから彼が来るのは週に一度のペースになり、そこまであたることもなくなったんです。週一だとたまにしか会えない分、仲良くしていたいと思ってくるんですよね。その後体力が戻って、退院、復学して、ずっと彼との付き合いは続いていました。でも、どうも前みたいに仲良くはいかなくて……。彼と過ごすことが辛くなっていったんですが、病気の時にあんなに支えてもらった彼に私から別れ話をできなくて……」

入院生活を振り返って、「今でも当時の彼がいなければ乗り越えられなかったと感謝の気持ちでいっぱいです」と純子さんは語ります。

彼に別れを切り出せない、別れた後も新しい恋愛に進めない……。そんな彼女が恋愛相手に選んだ男性とは……?〜その2〜に続きます。