購入後に乗る可能性のあるなら家族全員で行くべき

 クルマの購入を検討する際のディーラーでの試乗は必ず行って欲しいことであるが、女性など「自分のものでない上に慣れていないディーラーの試乗車に乗るのは気が乗らない」という人もいるだろう。その気持ちもわかるところもあり、今回はディーラーのショールームにある展示車で確認したいチェックポイントを挙げてみたい。

1)運転席に座った感じ、視界、乗降性

 展示車の運転席に座ったら、まずシートの高さやハンドルの前後といった調整機能をすべて使ってドライビングポジションを合わせて、違和感がないか確認して欲しい。次に前後の視界に問題ないかも確認したい。

 またとくにSUVのようなクルマの場合は乗降性が自分の基準に合わないこともあるので、自分で前席、後席に何度か乗り降りしたり、家族やそのクルマに頻繁に乗る可能性がある親しい人がいれば同行してもらい、乗降性を確認してもらいたい。

 乗降性といえば、Aピラーの傾斜により身体がのけぞるような姿勢にならないか、ミニバンや最近増えている3列シートのSUVの場合は、とくに3列目に乗る可能性の高い人に2列目シートの動きも含んだ3列目シートのアクセスを試してもらい、問題がないか見るのも重要なチェックポイントだ。

2)インテリアの確認

 インテリアは質感だけでなくスイッチ類の操作性に加え、とくに輸入車では可能ならイグニッションオンの状態にしてもらいカーナビやメーター内のインフォメーションの切り替えの操作も試したい(操作性に関しては慣れによる部分もかなり大きいが)。

 また普段持ち歩く鞄や、財布やスマホといった身に着けるものを持参し、不便なく置き場が確保されているか、オプションやカー用品で売っている後付け品などでの対応となることもあるが、スマホの充電などに使う12V電源の個数やUSB電源の有無も確認したい。

3)ラゲッジスペースを含む室内の広さ

 室内は自分だけでなく同乗者にも後席、ミニバンなどでは3列目シートの広さを、座った時のサイドウインドウの傾斜による圧迫感の有無なども含めてチェックしてもらいたい。

 ラゲッジスペースは見た目の広さや床下収納や、コンパクトカーなどで二段分けられるクルマならその使い勝手、リヤシートの収納方法に加えて、可能なら自転車などの自分が積む可能性のある最大の荷物を持参して積めるかも、チェックできれば望ましい。

 ここまで展示車でのチェックポイントを挙げたが、やはり試乗車があるならクルマは動かしたいというのは事実であり、乗ってみないとわからないところがたくさんある。矛盾するようだが、そんな人にオススメしたい試乗方法をお伝えしよう。

4)ディーラーの敷地内で動かしてみる

 公道での試乗は「ちょっと」という人でも、ディーラーの敷地内なら大丈夫だろう。ディーラーの敷地内で動かすだけでも視界や車庫入れのしやすさ、パーキングスピードなどの低速域のハンドルの重さなど、得られる情報はそれなりにある。またディーラーによっては最近ではクルマを選ぶ際の重要なチェックポイントになっている自立自動ブレーキのデモンストレーションがあることもあるので、体験してみたい。

5)自分は助手席に乗って、誰かに運転してもらう

 自分は同乗し、家族やセールスマンに運転してもらうというのも乗り心地、静粛性やエンジン音といった音関係、コーナーでのロールの感じ、晴天であれば日光によるダッシュボードのフロントガラスへの映り込みなど、バカにできない情報が得られる。可能であれば自分の駐車場まで行ってもらい、車庫入れをしてもらう、もしくは自分で試すのもいい。

 いずれにしてもクルマは数年に1回の高価な買い物なので入念にチェックして、後悔のないクルマ選びをしてほしい。