早々に2失点を喫し、さらに36分には3点目を奪われてしまった【写真:Getty Images】

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早々の2失点。実質的にテストは終了

 11月10日、フランスのリールでブラジル代表との国際試合に臨んだ日本代表。来年のワールドカップに向け貴重なテストマッチの機会だったが、開始早々に次々と許し前半だけで3点を奪われてしまった。単純な力の差を示され、テストとしても中途半端なものになってしまった。(文:西部謙司)

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【日本1-3ブラジル】

 ブラジル、ベルギーとの試合は個人のテストではなくチームのテストになる。日本はハリルホジッチ監督がベストと考えるメンバーで臨んだが、非常に中途半端な結果に終わってしまった。

 中盤は予選のベストゲームだったホームのオーストラリア戦と同じ長谷部、山口、井手口のトリオだが、ブラジルとマッチアップを合わせて三角形の作り方が逆になっていた。敵陣の半分からマンマークに近い形の守備を行っている。これでボールを奪ってカウンターを仕掛けるのが日本の狙いである。ブラジル相手に日本の守備と速攻がどれだけ通用するかのテストだった。

 ところが、早々に2点を失ったことで実質的にテスト終了となってしまった。日本がどこからプレスをするか確認できたブラジルは、その手前でパスを回しながらの省エネモードに。この時点で、日本は得点を奪うためのプレーとブラジルのカウンターをいかに防ぐかのテストに変わった。

 ところが、日本は有効な攻撃がほとんどできず、ブラジルのカウンターを食らって0-3となってしまう。こうなると玉砕覚悟のハイプレスしか選択肢はないのだが、当初のプランどおりの守備を変えなかった。ブラジルもさほど攻め込んでこないので当然テストにはならなかった。

連係ミスの3点目。ネイマールは好調でもなく

 10分でPKを献上して0-1。5分後にも2つめのPKを与えたが、これはGK川島が我慢してぎりぎりまで動かず、見事にネイマールのシュートをストップした。しかし、その直後に井手口のクリアミスをマルセロに決められて0-2。

 ここまではPKとミスでの2失点だったが、3点目は左サイドを崩されてダニーロの低いクロスボールをジェズスに押し込まれた。この失点は日本の連係ミスだと思う。中央から日本の左サイドに展開されて長谷部とウィリアンが対峙したとき、ウィリアンの背後をダニーロが追い越していった。

 長谷部の背後には槙野がいて、長谷部にダニーロをマークするように指示していたが、長谷部が動かなかったので槙野がダニーロへ行ったが間に合わずにクロスを入れられている。槙野はウィリアンへ行きかけて止まり、長谷部と槙野がほぼ同じ高さで並んだ瞬間にダニーロに振り切られている。

 後半は無失点に抑えたとはいえ、3点リードのブラジルは追加点を奪う意欲をみせず、エースのネイマールも不調だった。マルセイユとのル・クラスィクでも酒井宏樹に抑えられていたが、この試合でも精彩を欠いていた。

 川島との1対1を決め損ね、FKも回転不足で枠へ飛んでいない。ネイマールがもう少しまともな状態だったら、さらに追加点を食らっていたかもしれないので日本にとってはラッキーだった。

日本の出来が悪かったわけではない。単純な力の差

 後半にCKから槙野が1点を返し、オフサイドになったが杉本はFKからヘディングシュートでネットを揺らしている。吉田のバーに当たったFKもあった。現在の日本には中村俊輔や遠藤保仁のようなセットプレーのスペシャリストがいない。守備型の日本にとってセットプレーはかなり重要度が高いので、キッカーがいないのは問題だと思っていた。しかし、意外といっては失礼だがセットプレーでもチャンスを作れたのは数少ない好材料かもしれない。

 攻撃はブラジルが引き気味になった時点でスペースがなくなり、そうなると速攻ができないときの攻め手が乏しい。浅野、乾、森岡の投入でアディショナルタイムにようやくセットプレー以外の決定機を作れたが、浅野のシュートミスで得点には至らず。

 とはいえ、日本の出来がとくに悪かったわけではない。ブラジルの手抜きもあったとはいえ、狙いどおり中盤でボールを奪う形は何度かあった。ただ、せっかくカットしたボールをワンタッチで相手に渡してしまうのはもったいなかったが。

 大迫は高いボールでなければ収めることができた。ミスもあったが井手口のボール奪取能力はこのチームの生命線といえる。長谷部はほぼミスのないプレーぶりで、山口も随所に力を発揮していた。リーグアンでプレーする酒井は貫禄を示し、川島もハイレベルだった。単純にブラジルとは力の差があるのだ。ただ、ワールドカップのためのテストが十分に出来なかったのは残念だった。

(文:西部謙司)

text by 西部謙司