仏紙記者が見たブラジル戦 日本の戦術には賛同も「印象に残った選手は誰もいない」

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現地で取材したソラリス記者を直撃 「日本はもう少し球際で強くなる必要がある」

 バヒド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、10日の国際親善試合ブラジル戦で1-3と敗れた。

 フランスのリールで行われた一戦に地元記者も取材に訪れていたが、フランス紙「ラ・ヴォワ・デュ・ノール」のジャン=フランソワ・ソラリス記者は、日本の戦いぶりに一定の評価を下しつつ、「ワールドカップに向けて良い授業を受けたと思う」と語っている。

 立ち上がりから果敢なプレスをかけた日本だが、前半7分の左CKの際にDF吉田麻也がMFフェルナンジーニョを倒したとして、ビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)の映像検証が行われPKを献上。これをFWネイマールに決められて早々に失点を喫した。

 同16分に再びPKのピンチを迎え、これはGK川島永嗣がストップするも、直後のCKの流れからDFマルセロに右足の弾丸ミドルを叩き込まれて0-2。さらに同36分、ブラジルはカウンターから右サイドを崩すと、FWガブリエル・ジェズスが流し込んで追加点を決めた。日本は後半18分、MF井手口陽介の左CKからDF槙野智章が頭で合わせて1点を返したものの、そのまま1-3で敗れた。

 ソラリス記者は「日本は全体的にスピード感があったし、一定の一体感も備わっていたと思う。ただ、もう少し球際で強くなる必要がある」と分析。さらに、FIFAランク44位の日本と同2位ブラジルとの決定的な違いについて、ある点を挙げている。

「戦術的なアイデアは良かったと思う」

「なにより技術の差が大きい。ブラジルは素晴らしいプレーヤーを揃えていたし、技術的にも日本より明らかに優れていた。技術面を見て、両国が同じ水準にあったとは言えないだろう」

 戦術面やフィジカル面、システム論の前に、根本的な技術の差を指摘。一朝一夕では解決できない問題が両国の間に厳然と横たわっており、その差を今よりも埋めない限り、勝機を見出すのは難しいという。

 では、1-3で敗れた日本の個々の選手は、フランス人記者の目にどのように映ったのだろうか。「なんて言っていいのか……」と困惑した表情を浮かべつつ、「正直言って、僕の印象に残った日本の選手は誰もいなかった」と本音を明かしている。

 ブラジル戦での日本は、前線からプレッシャーをかけてボール奪取を狙う意図があったものの、一枚も二枚も上手の相手は難なくプレスを回避。日本にとっては、想定以上にプレスがかからない状況がピッチ上の至るところで生まれていた。

 もっとも、ソラリス記者はハリルホジッチ監督が選択した戦い方を評価しているという。「前線からハイプレッシャーをかけ、ブラジルを抑えようという戦術的なアイデアは良かったと思う」と言及しつつ、それに伴う問題点も提起している。

問題は「強度をどれだけの時間維持できるか」

「ただし、最大の問題は、ハイプレッシャーの強度をどれだけの時間維持できるかだ。日本のフィジカル面を考えると、その戦い方を90分間続けるのは難しいように思う」

 ハイプレッシャーをかける基本戦術に賛同しながらも、今後は状況に応じて使い分けが必要になると分析を加えた。サッカー王国ブラジルとの差を見せつけられたハリルジャパンだが、ソラリス記者は「日本はワールドカップに向けて良い授業を受けたと思う」と、この一戦が意義深いものになると付け加えている。

 14日にFIFAランク5位のベルギーと対戦する日本は、ブラジル戦の結果を受けてどのような戦い方を見せるのだろうか。

【了】

大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images