【ライターコラムfromG大阪】一歩一歩前へ…中原彰吾、“諦めない”気持ちで勝ち取ったJ1の舞台

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 2017年が半ばに差し掛かっても、正直開幕した頃はまだ中原彰吾がトップチームで活躍する姿を想像するのは難しかった。彼が本職とする『ボランチ』でプレーするトップチームの選手と比べればこそ、だ。遠藤保仁、今野泰幸、井手口陽介。近年、ガンバ大阪のボランチを預かってきた彼らは、言わずと知れた日本を代表する『ボランチ』。その争いに割って入るとなれば相当なプレーの質を求められる。それもあって、彼が目指していたトップチーム昇格への道のりは、長く厳しいものになると予想していた。

 もっとも、ガンバ大阪U−23ではシーズン序盤からコンスタントにピッチに立ち、存在感を示してきた。本職のボランチだけではなく、チーム事情からセンターバックの一角を担う時期も長く続いたが、どのポジションに据えられても輝きは失わない。いや、むしろ、与えられたポジションで本来の攻撃的な能力を生かすことを意識したプレーは、センターバックを本職とする選手を上回るものだった。

 ただし、G大阪U−23に所属する選手の中ではキャリアも長く、2013年にアカデミーから昇格した北海道コンサドーレ札幌でも明治安田生命J2リーグ34試合に出場していたことを考えれば、ある意味、それは当然の活躍だったと言える。というより、シーズンが始まる前から本人も「J3リーグではできて当たり前というか、むしろ圧倒的な存在感を示せるくらいじゃないと話にならない」と繰り返していたが、彼が今季目指すのはいまだ戦ったことのないトップリーグ、J1リーグの舞台での活躍だ。であればこそ、J3リーグでの活躍がJ1リーグに直結するほど甘い世界ではないということは、本人も自覚するところだった。

 その中原が目指していた場所に少し、近づけたのが8月の終わりだ。トップチームにケガ人が増えたことを受け、彼はこの時期からトップチームの練習に参加。正式なトップチーム昇格ではなく、あくまで暫定的な措置と見られていたが、これを「アピールのチャンス。練習から示し続けるしかない」と捉えた彼は、少しずつトップのスピード感や選手の特性を掴みながら、存在感を示すようになる。実際、その練習でのパフォーマンスが評価され、日本代表選手が不在の中で戦った2017JリーグYBCルヴァンカップ準決勝・セレッソ大阪戦ではボランチで先発に抜擢されると、初出場とは思えないほど堂々とプレー。それを機にコンスタントに出場機会を掴み、J1リーグでも第30節のアウェイ・浦和レッズ戦、第31節のホーム・ベガルタ仙台戦と先発のピッチに立った。

「トップチームで試合に出してもらえるようになったばかりの頃は緊張もありましたが、最近はコンスタントに絡めるようになってきたこともあり、落ち着いてプレーできるようになってきました。U−23から始まって、ここまで来ることができたのは練習から継続してやれてきたからだと思うので、引き続き、その練習からしっかり集中を切らさずにプレーの質の向上を求めたい。残り少なくなった試合にも、最後まで絡めるようにアピールしていきたいです」

「練習は裏切らない」。そのことを信じ、その都度、自身のいる場所で、ひたすらにレベルアップに努めてきた今シーズン。もちろん、トップチームにケガ人が出たこともチャンスに近づけた理由の一つだが、そのチャンスを確実に手中にできたのは、紛れもなく彼がシーズンを通して続けてきた、自分との『諦めない戦い』によるものだった。

文=高村美砂