杉本健勇(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

写真拡大

杉本健勇は不満げな顔でミックスゾーンに現れた。80分、大迫勇也に代わって出場し、FKからネットを揺らしたもののオフサイドでゴールは認められなかった。その判定が気に入らなかった、というのではなさそうだった。

「FKは狙いどおりやったんですけどね、ちょっとだけ出てましたね。ブラジルはそういうところ、適当に見えてしっかり作ってましたし。そのちょっとした差は突き詰めていかなければいけないところです」

杉本は「突き詰める」という言葉を使って、ブラジルとの差を表現した。

「やっぱりずる賢さだったり強さはありましたけど、全然できないという感じはなかったので、やれることはありましたし、チームとしてもチャンスはあったので、最後に決めるということを突き詰めていかなければいけないと思います」

自身といてはどうだったのだろうか。

「手応え……そうですね。やれるというか、やれるという自信を持ってやらないと。『やられへん』と言うヤツなんかおらんと思うし。そういう意味では世界トップのチームとできましたし、試合は負けましたけど、おのおの感じることがあったと思うし……」

そう言うと杉本は「もう一回、またやりたいですね」とつぶやいた。もう一度対戦すれば、もっと別のこともできたと感じているからだろう。

杉本はそんな気持ちを振り切るように、「ベルギーあるんで、しっかり切り替えてまたやりたいと思います」と続けた。だが、去り際に「……悔しいです」と一言、ぼそりと語って、苦り切った表情の理由を明かしていた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】