後半17分にゴールを決めたDF槙野智章がボールを持って自陣に戻る

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[11.10 国際親善試合 日本1-3ブラジル リール]

 スカウティングがずばりとハマった。0-3の後半17分に日本代表が得た左CK。MF井手口陽介のキックからファーサイドへ飛び込んだDF槙野智章(浦和)がDFジェフェルソンに競り勝ち、ヘディングシュートを叩き込んだ。

 前半だけで3失点を喫するなど、一方的に押された展開の中でもぎ取ったゴールは、ミーティングで繰り返し見た映像と分析の賜物だった。ゾーンディフェンスの中に弱点を見つけていた。

「ブラジルのセットプレーの守備の映像を多く見ていて、僕が入っていったあそこはかなりルーズだということが分かっていた」

 前半から数えて日本のCKは5本目だった。それまではショートコーナーを選択するなどボールが来なかったが、「井手口選手がやっとそこに蹴ってくれた。うまく入れた」と振り返った。結果的には1-3で敗れたが、「0-3で終わるのではなく、自分たちから『まだ死んでいない』というところを見せるためにも大事な一発だった」。一矢報いたところに価値がある。

 日本はこれまでブラジルと11回対戦し、得点はわずかに4だった。過去の得点者は福田正博、中村俊輔、大黒将志、玉田圭司の4人。槙野は06年のドイツW杯グループリーグ最終戦で得点した玉田以来、11年ぶり、史上5人目の得点者となった。

 とはいえ、笑顔がまったくなかったのは当然だろう。ビデオ判定によるPKで先制点を奪われたのを皮切りに、セットプレーのクリアミスから立て続けに2失点目を喫し、さらにはカウンターからも失点した。前半のうちに0-3。手も足も出ない45分間を過ごしてしまった。

「前半は慎重に、受け身に入ってしまった。失点後も自分たちからアクションを起こそうとしたが、相手の質が高く、45分間が終わってしまった」

 後半は前線からプレスをかける策がうまくいきはじめ、自身のゴールやオフサイドにはなったがFW杉本健勇のシュートにもつながった。槙野のロングフィードからサイド攻撃が生まれた場面もあった。

 ハリルホジッチ監督が「現在の世界最強チーム」と位置づけるブラジルとの対戦で出てきた課題は主に2点。「相手のレベルが高くなったとき、はめたところをはがされたあとの守り方の修正」と、「ブロックを敷いた中でも、ボールを奪いに行く選手を前へ押し出すことが必要」ということだ。もちろん、個人としてのアピールも不可欠である。ロシアW杯まで、次のベルギー戦をはじめ、強豪と戦える試合は限られている。槙野の挑戦は続く。

(取材・文 矢内由美子)


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