後半18分、DF槙野智章がCKから意地の1点を返す

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[11.10 国際親善試合 日本1-3ブラジル リール]

 日本代表は10日、フランス・リールのスタッド・ピエール・モーロワでブラジル代表と国際親善試合を行い、1-3で敗れた。前半だけで0-3という完敗で、ブラジル戦は5連敗。対戦成績は2分10敗となったが、0-3の後半18分にセットプレーからDF槙野智章がブラジルから11年ぶりとなるゴールを奪い、一矢報いた。

 史上7人目の国際Aマッチ通算100試合出場を達成したDF長友佑都がゲームキャプテンを務めた日本は4-2-3-1のシステムを採用。GK川島永嗣、4バックは右からDF酒井宏樹、DF吉田麻也、槙野、長友。中盤はMF長谷部誠とMF山口蛍がダブルボランチを組み、MF井手口陽介がトップ下に位置した。前線は右にFW久保裕也、左にFW原口元気。FW大迫勇也が1トップを務めた。

 ブラジルは過去の日本戦で3試合7ゴールのFWネイマールが左ウイングで先発。20歳の新星FWガブリエル・ジェズスがセンターフォワードを務めた。[スタメン&布陣はコチラ]

 アンカーのMFカゼミーロに井手口、右インサイドハーフのMFジュリアーノに山口、左インサイドハーフのMFフェルナンジーニョに長谷部がマッチアップする形で中盤を三角形にした日本。高い位置から積極的にプレッシャーをかけるが、ブラジルは個々の選手が圧倒的な個人技を見せつけ、日本のプレスをはがしていく。

 前半4分、ネイマールがロングボールを華麗なトラップでおさめ、左サイドからドリブルで中に持ち込んだが、パスを受けたジュリアーノのシュートは長友が体を張ってブロックした。同5分には井手口と山口が挟み込む形でネイマールからボールを奪うシーンもつくったが、思わぬ形で先制を許した。

 前半8分にプレーが切れたタイミングでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によってゲームが中断。同6分、ネイマールの左CKは川島がパンチングで弾いたが、ボールのないところで吉田がフェルナンジーニョを倒していたとしてPKを取られた。前半10分、PKのキッカーはネイマール。川島の逆を突いてゴール右に流し込み、日本戦通算8ゴール目となる先制点を奪った。

 ブラジルはその6分後にもPKのチャンスを獲得する。日本のCKから逆にカウンターを仕掛け、最後はDFダニーロが右クロス。PA内のネイマールが胸で落とすと、ジェズスが山口に倒された。再びネイマールがPKキッカーを務めたが、ゴール左を狙ったキックは川島が横っ飛びで弾き出す。ところが、このプレーで得た左CK。ネイマールのキックのセカンドボールを蹴り出そうとした井手口のキックが中途半端となり、PA手前からDFマルセロが右足を一閃。豪快なミドルシュートをゴール左上隅に突き刺した。

 セットプレー絡みで2失点した日本は前半29分、槙野の縦パスから素早く前を向いた原口がカゼミーロに倒され、FKを獲得。吉田が左45度の位置から右足で直接狙ったが、惜しくもクロスバーを叩いた。すると前半36分、ブラジルは再びカウンターから日本陣内に攻め込み、しっかりボールをつないで右サイドに展開。ボールをキープしたMFウィリアンが外側を駆け上がるダニーロにパスを送り、グラウンダーのクロスをファーサイドに走り込んだジェズスが左足で押し込んだ。

 手も足も出ない展開で前半を折り返すと、日本は後半開始から久保に代えてFW浅野拓磨を投入。ブラジルはGKアリソン・ベッカーに代わってGKカッシオ・ラモスが後半のゴールを守った。後半12分には再びVARにより試合が中断。直前の競り合いでネイマールが酒井宏の頭部を手で叩いていたとしてネイマールにイエローカードが示された。ブラジルは後半13分、ジェズスとマルセロを下げ、FWジエゴ・ソウザとDFアレックス・サンドロを投入した。

 攻め手を見つけられずにいた日本だが、後半18分、セットプレーから1点を返した。井手口の左CKからファーサイドの槙野がDFジェメルソンに競り勝ってヘディングシュート。ゴール右隅に叩き込んだ。日本がブラジルからゴールを奪ったのは06年ドイツW杯のグループリーグ最終戦(1-4)以来、約11年ぶり。槙野は福田正博、中村俊輔、大黒将志、玉田圭司に続く史上5人目の得点者となった。

 日本は後半25分、長谷部と原口に代えてMF森岡亮太とFW乾貴士を投入。井手口が下がって山口とダブルボランチを組み、森岡はトップ下に入った。森岡は14年10月14日のブラジル戦(0-4)以来、約3年ぶりの代表戦出場。そのまま左サイドに入った乾は10番を背負って初出場となった。一方のブラジルも同26分、ネイマールとウィルソンを下げ、FWダグラス・コスタとFWタイソンをピッチに送った。

 後半は無理せずボールをつないで時間を使うブラジルは後半35分にもジュリアーノに代えてMFレナト・アウグストを投入。日本も直後に大迫を下げ、FW杉本健勇が1トップに入った。同41分には井手口に代わってMF遠藤航がピッチへ。同43分、乾がPA左手前の位置でFKを獲得すると、自らキッカーを務め、右足でゴール前にクロス。杉本がヘディングでゴール右隅に流し込んだが、オフサイドの判定で得点は認められず、試合は1-3のままタイムアップを迎えた。

(取材・文 西山紘平)


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