バンガード・インベストメンツ・ジャパンの代表取締役に今年就任したディビッド・キム氏(写真)は「近年の日本における規制の変化は、日本の投資家にとって望ましい変化であり、同時にバンガードにとっても好ましい変化だ」と述べた。iDeCo(イデコ)やつみたてNISAを通じて、低コストのファンドが流通し始めていることが、バンガードの商品に脚光をあてるきっかけになると期待している。

写真拡大

 バンガード・インベストメンツ・ジャパンの代表取締役に今年就任したディビッド・キム氏は11月10日、東京・永田町で日本のメディア向けに、日本におけるビジネス戦略についての説明会を開催した。キム氏は、説明会において「近年の日本における規制の変化は、日本の投資家にとって望ましい変化であり、同時にバンガードにとっても好ましい変化だ」と述べた。iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(少額投資非課税制度)を通じて、低コストのファンドが流通し始めていることが、バンガードの商品に脚光をあてるきっかけになると期待している。

 ディビッド・キム氏は、2009年にバンガードに入社して以来、フォナンシャル・アドバイザー・サービス部門でブローカー・ディーラーとアドバイザーサービスのヘッド、また、コーポレート・ストラテジーチームの一員としてインターナショナルビジネスの戦略策定に当たり、日本法人の代表に就く直前には機関投資家部門の企業年金プラン顧客サービス部門でヘッドを務めていた。バンガード以前には、アメリカン・エキスプレスやベイン・アンド・カンパニーなどでキャリアを重ねたが、ビジネス界に入る前には、香港フィルハーモニー管弦楽団に所属し、プロのチェリストとして活躍していた。

 バンガードは、インデックスファンドやETFにおいて、米国を代表する運用会社で特に運用コスト(エクスペンス・レシオ=総経費率)に置いては、他のファンド運用会社の平均0.52%を大きく下回る平均0.17%という低コストの商品を投入し、市場をけん引する存在になっている。キム氏は、「2009年当時は運用資産残高は総額で1兆ドル程度だったが、この8年間で4.7兆ドルへと目覚ましく成長した」と語っている。米国で純資金流入額が大きい上位5社のなかで、バンガードへの資金流入額はシェアが5割を超え、その状況は2013年以降、年々顕著になってきている。

 日本においては、金融庁が推し進めてきたスチュワードシップコード(責任ある機関投資家の諸原則)、コーポレートガバナンス・コード(上場企業が守るべき行動規範)、フィデューシャリー・デューティ(顧客本位の業務運営に関する原則)などへの取り組みによって、「大きな金融仲介業者の力によって高コストの運用商品にしか個人投資家がアクセスできないという状況が変わりつつある」と評価。「日本で現在起こりつつある変化は、1975年にバンガードが市場参入した当時のアメリカの市場に似ている」(キム氏)と捉えているという。

 「個人投資家が低コストで、国際分散投資ができる商品に容易にアクセスできる環境が整うことによって、日本でも貯蓄から投資への変化が起きるだろう。日本の変化をポジティブに考えている」と語った。そして、米国で競争力の強いETFを公募投信の形で日本の投資家に提供するため、日本における提携戦略に注力するとしている。

 2018年1月からスタートする「つみたてNISA」向けに、今年9月に楽天投信投資顧問と連携して新規設定した「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))、そして、11月設定の「楽天・新興国株式インデックス・ファンド」(楽天・バンガード・ファンド(新興国株式))などにつながっている。

 キム氏は、「日本の運用業界内で連携やパートナーシップに対する関心が高まってきていることは、当社にとってはチャンス。投資家の利益を最優先にするというバンガードの理念について理解と協力を得られるパートナーを募って、より多くの個人投資家の方々にバンガードの商品を届けたい」と意欲を見せていた。(情報提供:モーニングスター社)