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メディアは、権力犯罪を追及できないのか

2005年09月10日08時18分 / 提供:PJ

pj
朝日新聞メモ捏造問題で7日、前朝日新聞社長が記者会見を行い、「何か体質的、構造的な問題があるのではないか。どこに体質的、構造的問題があるのか分かればいいが、126年と歴史が長くなると、組織に硬直的なところが出てくる。社員教育とは人事システムとか、根本的なところまでさかのぼらなければいけない」と、問題の根深さを認めておられる。この件を発端に今後、報道に対する様々な問題点が、メディアを通じて露出することになるだろうと記者は考える。

 先月発売された「創」という雑誌に、「権力犯罪を追及できない大手メディア」という小見出しで、元毎日新聞社会部で現在「週刊金曜日」の編集長を務めておられる北村肇氏による新聞記者に関する興味深い記事が掲載されていたのでご紹介しよう。

 ―私は、昨年の2月に30年勤めた毎日新聞を辞めました。何で辞めたのかということをいろいろな人に聞かれました。もう新聞に愛想を尽かしたのかという人や、あれだけ新聞批判をやってきたから、いよいよ追い出されたのかいう人もいたり、どちらも当たらずも遠からずという感じです。

 「週刊金曜日」には、自前の記者がほとんどいません。従って、新聞記者に書いてもらうことも多々あります。例えば、アルカイダの関係者だということで、在日の外国人が逮捕され、大々的に報道された事件がありました。「どう考えても、アルカイダに近い関係者とは思えない」という現職の新聞記者が、「でも自分の新聞では書けないから」ということで、「金曜日」に話を持ち込んできました。

 イラク報道も同じです。イラクで自衛隊が何をしているかといったら、訓練をしているわけです。それも自分のところでは書けないからやらせてほしいと言ってくれる。何百万部の新聞で書いた方が、影響力があるに決まっていて、しかもそれを書きたいという記者がいるのに書けない。で、3万5000部の「金曜日」に持ってくるというのが現状です。

 では、なぜ、書けないのかというと、以前は、例えば警察の悪口を書いてしまったらネタが取れなくなる。社会部から追い出されて自分のやりたい仕事ができなくなる、だから書けないということが多かった。しかし今はむしろ、権力に歯向かう記者が評価されない、という雰囲気がいくつかの全国紙にはある。つまり、状況は悪化しているということですね。

 我々の仕事は、権力を叩くこと。権力を叩きたいから、新聞記者や放送記者をやっているんです。でも、権力を叩くと、「そういう記者はいらない」という雰囲気ができている。調査報道を認められなくなる雰囲気が社内に作られつつある、という記者もいます。これでは、権力犯罪の報道はやりようがない。

 最近、植草一秀さんの「手鏡事件」がありました。「金曜日」では、冤罪事件として取り上げましたが、「あれは、無理すじの事件だ」と現場の記者は言っています。「無理すじ」というのはつまり、立件は元々無理な事件だということです。

 ビラまき逮捕の事件も全部そうです。こんなものを事件にするのは全部「無理すじ」だと、現場の記者はわかっている。だけど、書かない。そんなことを社内で主張すれば、この記者は少しとんがりすぎているから社会部から出したほうがいいんじゃないかという雰囲気が作られつつある。

 その理由はいくつかありますが、ひとつだけ言うと、各社の上層部、つまり経営ボードが、ほとんど政治部と経済部に握られていることがあります。政治家批判を書こうとすると、政治部出身の役員から直接言ってきたりする。むろん、それで記事をボツにすることはありませんが・・・。権力を批判するとそれを潰そうとする体質は、社会部、特に警察担当記者にもありますが、政治部、経済部の方がさらに大きいと実感として思います。

 そういう人が会社を牛耳るわけですから、次第に権力を叩く記事が減ってしまう。地方紙がこれだけ頑張れる理由はいろいろあると思いますが、全国紙のような政治部、経済部がないこともひとつではないか。全国紙の中枢部分を“何とか派閥”の人たちが牛耳っている、それが新聞社の体質を悪化させていると思います。ただ、いまや「新聞社」には、何の期待もしていないけど、「新聞記者」にはまだ、かなりの期待を持っています。

 記者が連載してきた、記者の父の死因をめぐる「誰かが殺した」の内容についても、新聞社の記者は権力側の話はよく報道したが、遺族である記者の話はほとんど報道しなかった。また、PJニュースでは植草一秀さんの意見を連載したが、大手新聞社は植草さんの意見を無視した。一般市民は「新聞社」を信用できないことは北村さんの話でわかったが、では、どうやって、なにも書けない「新聞記者」に期待すればよいのだろうか。ネットが発達したことで、新聞記者に期待するより、事件の被害者が自ら情報を発信する方法も出てきた。事件の被害者はこれを活用するのも一案である。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 新納 直子

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