格安旅行会社「てるみくらぶ」が虚偽の決算書で好業績を装い、三井住友銀行から融資金2億円をだまし取ったとして、警視庁は8日、詐欺と有印私文書偽造などの疑いで、同社社長の山田千賀子容疑者(67)ら2人を逮捕した。

 山田容疑者らは2016年6月下旬から9月中旬ごろ、「航空機をチャーターする資金が必要」とウソの説明をし、数回にわたって融資金を詐取した疑い。

 てるみくらぶは全国約9万人以上の客から旅行代金99億円を集め、今年3月、約151億円の負債を抱えて経営破綻。旅行業としては、リーマン・ショック以降、最大規模の倒産劇だった。

 今月6日、東京・港区で開催された債権者集会には、500人超が参加。7カ月ぶりに姿を現した山田容疑者は怒号が飛び交う中、涙ぐみながら「ウソにウソを重ねた。詐欺の意識はなく一生懸命やってきた」と、言い訳したという。

「債権者から『3000万円の役員報酬をもらって、どんな生活をしているのか』という質問には何も答えず、うつむいたまま。管財人から『社長個人も破産している。資産はない』と説明があった。『数億円の蓄財があるのでは』と聞かれると、『(報酬が)ゼロに近い時もあった。高額報酬がずっと続いていたわけではない』と答えていた。『ネットが苦手なシニア層を狙った詐欺ではないか』と問い詰められると、『シニアビジネスにシフトすればチャンスがあると思った。お客さまのためにやった』とか『IATA(国際航空運送協会)の資格を守るために粉飾をした』と終始、弁解ばかり。『泣けば許されるとでも思っているのか!』という声も飛んでいました」(出席者)

 日本旅行業協会によると、弁済限度額は1億2000万円で、現時点で「10万円の旅行代金をお支払いになられたお客さまは約1100円を還付させていただくことになります」ということ。それ以外、返金のメドは立っていないというから、これはもう“詐欺”以外の何物でもない。

 14年には債務超過に陥りながら、山田容疑者は年間3360万円の役員報酬をもらい、会社負担でJR原宿駅近くの家賃35万円の高級マンションに居住。旅行者からかき集めたカネで、ぜいたく三昧の日々を送っていた。それが今では東京・町田市の家賃9万円ほどの公団住宅でひっそり暮らすハメになったが、だからといって、債権者にカネが戻るわけではない。

 一方、てるみくらぶの前身「アイ・トランスポート」設立者で、新卒で採用した山田容疑者を32歳で社長に抜擢した益永高吉元会長は一切、表に出てこない。ネット上では「黒幕」などと呼ばれたが、責任はどうなるのか。

「本人は『(経営とは)無関係』と言っていたが、35年間、ずっとコンビを組んでやってきた。実質CEOみたいなものです。大手航空会社出身の益永さんは、『旅行業界に違和感を感じる。業界を変えたい』が口癖でしたから。ただ、経営破綻して以来、まったく連絡はない。どこで何をしているのか。断絶です」(長年の知人)

 友人や家族と楽しみにしていた旅行がパーになり、代金まで奪われた旅行者のことをどう思っているのか。