ハリルホジッチ監督が選出したメンバーは強豪相手に輝けるか【写真:Getty Images】

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監督は香川らを熟知。深読みするべきではない欧州遠征メンバー

 11月10日にブラジル戦、14日にベルギー戦を迎える日本代表。来年のW杯を見据えた強豪との対戦となる今回の欧州遠征だが、ハリルホジッチ監督は本田、香川、岡崎らこれまで日本を牽引してきたメンバーを招集外にするという決断を下した。代わりに浦和レッズから長澤和輝が初招集となり、同じく浦和の興梠慎三とベルギーで活躍する森岡亮太が代表復帰。ロシアW杯へ向けチームのオプションを増やせるだろうか。(取材・文:ショーン・キャロル/翻訳:フットボールチャンネル編集部)

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 間近に迫ったブラジル、ベルギーとの親善試合に向けたニュースの大半は、香川真司、本田圭佑、岡崎慎司をメンバーから外すというヴァイッド・ハリルホジッチ監督の決断に集中している。これまで不動の存在だったトリオが来年夏のW杯メンバーからまさかの落選となるのかどうか、という疑問が急速に勢いを増している。

 日本の誇る3人のビッグネームの不在はもちろん注目に値することではあるが、この2試合に向けたハリルホジッチ監督のメンバー選考について深読みしすぎることは避けた方が良いのかもしれない。指揮官は香川、本田、岡崎に何ができるか、そして何ができないかをすでに把握している。トップレベルのリーグで安定して好プレーを続けている2人のシンジに関しては特にそうだ。

 本田に対しては3人の中でも特にクエスチョンマークがつけられていることは間違いない。過去1年間で代表チームにおける中心的な役割を失ってしまい、今年夏に予想外の移籍先として選んだパチューカでも、まだメキシコリーグに完全に馴染みきれてはいない。

 だがハリルホジッチはやはり、本田がチームに何をもたらすことができるか、何をもたらすことができないかを理解している。来年のロシアでも上位進出が予想される2ヶ国を相手として当落線上の選手たちをテストできる機会となる今回の試合に向けて、本田に地球半周の移動を強いることにほとんど意味はないと言えそうだ。

西川は代表で再び実力を証明できるか。吉田のパートナーも不透明

 サムライブルーの指揮官は最近、23人の最終メンバーに残ることが確実な選手はまだ5人か6人ほどしかいないと話していた。だが、選手たちに緊張感を持たせ続けるために事実を多少歪めているであろうことも考慮に入れれば、ハリルのノートにはおそらく半数ほどの選手の名前がすでに書き込まれていると考えて良いだろう。

 川島永嗣、酒井宏樹、吉田麻也、長友佑都、長谷部誠、大迫勇也はおそらく確実。酒井高徳、山口蛍、原口元気もほぼ間違いないところだろう。香川、本田、岡崎も加えれば12人となる。本田はまだペンではなく鉛筆書きかもしれず、11.5人といったところか。それでもまだ11の枠が残っており、膨大な選手たちがその枠を埋めようと争っている。

 今回のGK勢の中で目を引く存在はもちろん西川周作だ。3月に行われたW杯予選のUAE戦、タイ戦でベンチ降格を強いられた時以来の代表復帰となった。

 31歳の西川は厳しいシーズンを過ごしており、相当に大きなミスもいくつかあった。だがハリルホジッチ監督は、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ決勝進出を果たす戦いの中での彼のパフォーマンスに好印象を抱いたに違いない。日本代表がアジア2次予選を8試合無失点で戦い抜いた際の正GK(川島と東口順昭も各1試合に出場して無失点)だった彼は、今でもその力を失っていないことを証明したいところだろう。

 ディフェンスラインの4人中3人は固まっていると言えるが、吉田麻也のパートナーを務めるセンターバックが誰になるかは全くの不透明。森重真人が不在の状況の中で、槙野智章も昌子源も確固たるポジションを獲得するには至らなかった。彼らのどちらか、あるいは両方が必要な力を備えているのかどうか、ネイマールやロメル・ルカク相手の力試しを通してよく分かることになりそうだ。

本田らを脅かす3人の新戦力

 その他の3人のニューフェイスは、香川、本田、岡崎の不在の穴を埋めるために招集されたと考えられる選手たちだ。

 森岡亮太、長澤和輝、興梠慎三の3人はいずれも所属クラブでここのところ好調なプレーを見せてきた。そのパフォーマンスを世界屈指のチーム相手に再現できるかどうかを確認できれば、例えば先月のニュージーランド戦とハイチ戦に招集するよりもはるかに有益なことだろう。

 森岡はベルギー1部のワースラント=ベフェレンで不動の存在としてリーグ戦14試合に出場して7ゴール8アシストを記録。長澤は、堀孝史監督がミハイロ・ペトロヴィッチ前監督から浦和の指揮を引き継いでから先発出場の機会が増加し、輝きを放ち始めた。特にACLの舞台では、ドイツでプレーした2年間の経験が明確に発揮され、フィジカル面でも技術面でも非常にプレーしやすそうな様子だった。

 浦和のチームメートである興梠も今季のJ1で目を引いた存在。チームがリーグ中位をさまよい、アジアでの成功にエネルギーを集中させていることが明らかな状況の中でも、6シーズン連続のリーグ戦二桁得点とキャリア初の20得点を達成してみせた。

 3人とも、来年のロシアに向けて選択肢になり得る存在であることは間違いない。だがブラジルやベルギーのような相手に対して自分の力を発揮できないようなら、飛行機の席を与えることにほとんど意味はなくなってしまう。そういったレベルのチームこそが、日本代表が来年夏に勝負する相手だからだ。

 彼らが確かなパフォーマンスを見せられたとすれば、ハリルホジッチは手持ちのオプションをさらに増やすことができる。だが、そのカードが香川、本田、岡崎に取って代わるものとなるのかどうかは監督本人にしかまだ分からないことだ。

(取材・文:ショーン・キャロル/翻訳:フットボールチャンネル編集部)

text by ショーン・キャロル