放っておけない「寝覚めの悪さ」。重篤な疾患につながっている可能性も

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朝に機嫌が悪い人は、少なからずいるのではないだろうか。「教えて!goo」にも「寝起きだけ人格が変わる」という相談が寄せられている。実は朝にスッキリ起きられない原因は精神的なものばかりではなく、身体の異常を知らせる重要なサインであることも考えられる。

寝覚めが悪くなる主な原因として、夜更かしと過度の飲酒が影響するようだ。そのうえで、「鉄欠乏性貧血」と「起立性調節障害」が、影響する可能性もあるという。「貧血大国・日本」(光文社新書)の著者である山本佳奈医師に、詳しい話を聞いた。

■悪性腫瘍が隠れている可能性も

鉄欠乏性貧血について、「鉄分が体内で不足した結果、全身に酸素を運ぶヘモグロビンが生産できなくなり、体内の組織が酸欠になった状態」と説明する。体内に蓄えられた鉄分が減少するにつれて、頭痛、動悸、息切れ、疲れやすくなる、そして「寝覚めの悪さ」といった症状が徐々に表われてくるそうだ。

山本先生は具体的な疾患として、過多月経のほか悪性腫瘍などによる消化管からの慢性的な出血もあるといい、「貧血をもたらす原因を放置すれば最悪の場合、死に至ることも考えられます」と警告した。

「貧血の原因としてがんが隠れていることは、しばしばあります。臨床現場では、貧血による重篤な疾患を発見することは多いです。早期の適切な治療で、治癒することも稀ではありません」(山本先生)。

■中学生の10人に1人が抱える障害

起立性調節障害については、「交感神経と副交感神経という自律神経のバランスが乱れるために生じます」と説明する。身体の成長に対して自律神経の発達が追いついていない思春期によくみられるそうで、小学生の約5%、中学生の約10%がこの障害を抱えているという。

朝だるくて起きられない、眠気、立ちくらみ、倦怠感、頭痛、動悸、失神、無気力、イライラ、そして「寝覚めの悪さ」といった症状は午前中に強く、午後から夜にかけて改善するのが特徴とのこと。

重症になると上半身や脳への血流低下を招き、日常生活が著しく損なわれ、長期的に不登校や引きこもり状態になることがあるという。学校生活やその後の社会復帰に大きな支障が出ることもあるというから深刻な問題だ。

さらに、「怠け癖、夜更かし、学校嫌いが原因だと考える親が、叱責したり無理やり起こしたりすることで親子関係が悪化することも少なくありません」とも。山本先生は保護者や学校関係者の理解が必要だと訴える。

■貧血、起立性障害の症状があれば受診を

寝覚めの悪さを気合いで乗り切ろうなどと考えて、手遅れになってしまっては大変である。

山本先生は、「過多月経、冬でも氷を食べる、爪が弱く割れや凹みがあるといった貧血による症状や、朝だるくて起きられない、午前中が特にだるいといった起立性調性障害の症状があれば、内科の受診をおすすめします」と話している。

●専門家プロフィール:山本佳奈
滋賀県生まれ。医師。滋賀医大卒。2015年4月から福島県の南相馬市立総合病院に初期研修医として赴任。2017年4月より内科医として勤務を続けている。同年9月より南相馬市内にある大町病院に内科医として出向中。女性の総合医を目指し日々研鑽。自身が貧血になった経験を基に在学中から「貧血」の研究を続けており、著書に「貧血大国・日本」(光文社新書/2016)。医療ガバナンス研究所にも在籍している。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)