コンピュテーショナル・デザインで描いたカーディーラーの店舗(竹中工務店)

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 ゼネコンが建物の設計で、情報通信技術(ICT)を使い、デザインに合わせて構造・環境性能などをシミュレーションする手法「コンピュテーショナル・デザイン」を取り入れ始めている。同手法により、建物のデザインに実際の構造や機能を織り込むことができ、シミュレーションを短期間で実現できる。設計案の検討効率化や、顧客への提案力向上に有効だ。設計力を高める上で、今後さらに活用が広がりそうだ。

 建物の設計で活用が始まっているコンピュテーショナル・デザインは、もともと飛行機や自動車など複雑な機能が組み合わさった製品を設計するためのモデリング手法。高度な数学的手法とプログラミング技術を用いる。

 例えば、大林組が施工し、2013年に完成した「オークラヤ麹町ビル」(東京都千代田区)では、窓の配置などで環境性能や景観、デザインなどを考慮するのに活用した。また大成建設は15年に開業した神奈川県内の大型商業施設で、外観のデザイン性を高めるのに利用している。

 コンピュテーショナル・デザインは最近「汎用性のあるソフトが出てきた」(竹中工務店)ことで、利用しやすい環境が整ってきた。一部のゼネコンでは、組織的に積極的に取り入れようという動きが出てきている。竹中工務店は16年、設計本部内にコンピュテーショナル・デザインの導入を支援するチームを設置。プロジェクトの内容に合わせて適用している。

 最近の事例ではカーディーラーの店舗がある。円弧の曲線のある屋根形状でも、構造的に問題ない建築物とするためコンピュテーショナル・デザインを活用。「いろいろなパターンを試した」(同)とシミュレーションを繰り返した。設計者が従来経験や勘で描いたデザインを、エンジニアリング的な裏付けを持って、すばやく表現できるようになる。

 清水建設もこの10月にコンピュテーショナル・デザインを導入・展開する部署を設置した。社内での活用推進と社員教育を実施する。

 コンピュテーショナル・デザインにより「複数案を同時にシミュレーションして最適な設計案を作り込め、顧客への提案力を高められる」(清水建設)とみる。設計案の作成では10―20%の生産性向上を期待する。3年後に全社で展開する方針だ。
(文=村山茂樹)