5季続いた長谷川体制は今季いっぱいで終焉。4つのタイトルを獲得した一方で、攻撃サッカーのカラーは薄まった。(C)SOCCER DIGEST

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 9月上旬、ガンバ大阪は長谷川健太監督が今季限りで退任することを発表した。一度は契約延長の可能性を伝えていたにもかかわらず、最終的にそうしなかったのはなぜか。少なからず謎がある長谷川体制終焉の舞台裏に迫った。
(※『サッカーダイジェスト』11月23日号より抜粋)

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 10年間指揮を執った西野朗体制に次ぐ、長期政権(5年)を築いた長谷川健太監督が今季限りでチームを去る。
 
「(長谷川体制の)継続も選択肢のひとつかもしれないが、クラブが次のステージに上がるためにチャレンジする」
 
 長谷川監督の退任を発表した翌日の9月8日、取材に応じた梶居勝志強化部長はその狙いについてこう語ったが、そもそもシーズン当初から「ポスト長谷川」も視野に入れていた。実際、同強化部長も「次の監督をどうするかは、今年のシーズンが始まってからの課題だった」と語っている。
 
 昨年は長谷川体制下で初の無冠に終わったものの、今季のリーグ前半戦では上位争いを展開。3-1で快勝した7月29日のセレッソ大阪戦後には、代理人を通じて長谷川監督に契約延長の可能性を伝えていながら、結果的に今季限りで現体制にピリオドを打つことになった背景には、いったい何があったのか。
 
 ベテランの遠藤保仁は、こう見解を述べる。

「メリットだけでなく、デメリットもあると、クラブが考えた判断だと思う」
 
 退任が発表された9月7日の時点では、リーグ戦では中位に沈んでいたものの、ルヴァンカップと天皇杯でタイトル獲得の可能性を残していた。それでも契約延長に踏み切らなかったのは、現状のスタイルからの脱却を目指したからに他ならない。
 
 すべての監督は功罪を併せ持つ。G大阪がクラブ史上初めてJ2に降格した2013年に就任し、J1昇格後、即3冠という偉業で復権させたドーハ世代の指揮官は、5年間で4つのタイトルを獲得。その一方で、サイドアタックと素早い攻守の切り替えをベースとしたスタイルを重視するあまり、“DNA”とも言える攻撃サッカーのカラーが薄まったのも確かだ。
 今季の成績に関しては、同情の余地もある。

 始動直後から望んでいた外国人アタッカーの獲得が夏にずれ込み、ようやく戦力として目処が立ち始めた堂安律も7月にオランダのフローニンヘンへとレンタル移籍。さらに、得点源のアデミウソンが低調なパフォーマンスに終始するなど誤算続きだったからだ。だが、ヴァンフォーレ甲府やサンフレッチェ広島など引いた相手を崩し切れないリアクション主体のサッカーが、その限界を見せていたのもまた事実だろう。
 
「これまで歴代の監督が植え付けてくれたものに、上積みをしてくれる指導者を選定したい」(梶居強化部長)
 
 タイトル奪回と同時に、かつての表看板だった攻撃サッカーを取り戻すべく、クラブは過去3度(1997年、2007年〜11年、12年〜13年)C大阪を指揮したブラジル人のレヴィー・クルピ氏を最有力候補としてリストアップ。
 
 個の特性を生かしたスタイル構築に長けるうえに、香川真司(ボルシア・ドルトムント)や乾貴士(エイバル)らを育て上げた指揮官の招聘は、梶居強化部長が求める理想像と重なる。ブラジル国内はもちろん、10年にC大阪を3位に導くなどJリーグでも実績を残しているのも魅力的だろう。
 
 指揮官との交渉は順調に進み、基本合意に達した模様。2年連続の無冠に終わった浪速の雄は「魅せながら、勝つ」という難解なミッションに、来季以降取り組んで行くことになる。
 
 
構成●サッカーダイジェスト編集部