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 ホンダは1日、17年4〜9月期連結決算(国際会計基準)について、好調な二輪販売や四輪車の売上増加により、純利益が前年同期比8%増の3813億円となったことを公表した。中国事業が最大のプラス要因で、セダン「シビック」や多目的スポーツ車(SUV)「CR-V」などに人気が集まり、過去最高の販売を記録した。「特別シフトで操業しても、とても作りきれない状況だ」と嬉しい悲鳴が聞こえる。

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 4〜9月の中国販売台数も過去最高で、前年同期比約19%増の72万9千台を記録し、市場全体が約4%増の中では好調さがひと際目立つ。18年3月通期の販売計画は好調継続を期待して4万台上積みし、139万台を目指す。

 しかし中国での急拡大は、将来の課題を強く意識させる要素でもある。19年から中国での生産量に応じて、新エネルギー車(NEV)の普及にむけた新規制が始まる。17年3月期に中国で約130万台を生産したホンダにも、一定のEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の生産が義務づけられる。対策は欠かせない。

 ホンダは湖北省と広東省に設立している2社の合弁会社で、電気自動車(EV)を共同で開発し、両社の工場で生産した同一の車体に内外装の変化を付け、それぞれのブランド名で販売する戦略を立案した。10月25日、東京モーターショーの会場で八郷社長は「EV最大の課題はコスト」であることを強調し「車台を一緒にして台数をまとめればコスト低減に有効」との考えを示した。

 これとは別にホンダは22年を目途に、「超急速充電」の電気自動車(EV)を複数発売する計画を進めている。一般的に急速充電器を使った場合にでも、8割程度を充電するのに30分程度の時間を要するが、これを15分に縮めて所要時間を半減させる。日本発の急速充電規格「チャデモ」は17年に50kw(キロワット)から150kwになったが、20年頃には350kwに引き上げの予定がある。欧州の急速充電規格「コンボ」も20年までに350kwの充電器を、高速道路沿いに大幅に増設する。これを睨んで電池メーカーとのパートナーシップにより、短時間の大量充電に耐えられる大容量電池を開発するとともに、車体の軽量化を進めて電力のロスを抑え、電池やモーターの制御技術も確立させる。

 世界で環境規制が強まる中、EVでの孤立感が強まり出遅れの焦燥感も否めなかったホンダが、再び存在感を示すことができるのか、計画の進展が注目される。