(写真提供=SPORTS KOREA)

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韓国・ソウル市は11月14日から、市内を走るバスで「ホットコーヒーなど、テイクアウトした飲料の持ち込みを禁止する」内容のアナウンスを流す予定だという。乗客が持ち込んだコーヒーによる車内トラブルが急増したためだ。

実際に、韓国のネット上にもコーヒートラブルに関する経験談は少なくない。「通勤バスの中でシャツに“コーヒースタンプ”を押されたが、クリーニング代をもらえなかった」「後ろに座った人が熱いコーヒーをこぼしたせいで背中に火傷を負った」「とある人が座席のシーツにコーヒーをこぼしたのだが、後片付けもせずに降りていった」という具合だ。

ソウルのバス業界によると、テイクアウトの紙コップを車内に持ち込む乗客の数は1日約3万人と推定される。全6971台(9月基準)のバス1台あたりに約3〜4人という計算だ。オフィス街を走るバスの場合、1台あたり15人前後の乗客が紙コップを持ち込むこともあるという。

確かに韓国人はコーヒー好きという印象が強い。今年の6月、5年ぶりに訪韓した世界的ロックスター・スティングは、「市内にコーヒーショップがものすごく増えている」と感想を述べていた。全国のコンビニが約5万4000店舗あるのに比べ、カフェは約9万店にも及ぶのだから、彼がそう思ったのも不思議ではない。

(参考記事:チキンの次はカフェが餌食に!? 一長一短な韓国人特有の気質、“鍋根性”とは

韓国農林畜産食品部が10月に発表した報告書によると、成人1人あたりの年間コーヒー消費量は400杯。2012年には288杯だったのが、毎年平均7%ずつ増え続けた。韓国人にとってコーヒーはもはや嗜好品ではなく、必需品になりつつある。

それだけに、韓国では今回の「飲料持ち込み禁止アナウンス」に対し、賛否両論が巻き起こっている模様だ。

「服にコーヒーのシミができたり、火傷を負ったりする心配がなくなる」「スマホやICカード、コーヒーなどを両手に抱えてバスに乗る人にはぜひ自覚してほしい」といった、アナウンスを賛成する意見がある一方、「コーヒーを飲むことすら自由にできないなんて、おかしい」「一部の非常識な人たちのせいでみんなが飲料を持ち込めなくなるのはやりすぎじゃないか」という反対の意見も見受けられる。

車内に持ち込まれたコーヒーでトラブルに巻き込まれるのは、乗客だけではない。運転手もだ。コーヒーをこぼされた乗客が「あんな乗客を乗せた運転手が悪い」と言ってクリーニング代を要求したり、「あなたの運転が荒くてこんなことになった」と逆ギレされたりする場合もあるという。バス運転手の間では今回のアナウンスを歓迎する人がほとんどらしい。

いくらコーヒー好きが多いとはいえ、急停車や急発進が日常的な韓国のバス事情を考えると、「テイクアウトのコップを持ち込むのは危ない」というのが、一般的な認識かもしれない。

韓国メディア『マネートゥデイ』が11月9日に掲載した記事によると、ソウル市内のバス10台で30人の乗客を取材した結果、「紙コップを持ち込んでもいい」という意見の人は8人、「持ち込んではいけない」との意見を示したのは22人だった。

11月2日にソウル市内バスの安全運行基準に関する条例の改正案を提出したソウル市議会のユ・グァンサン議員も、「バスは揺れが激しく、急ブレーキをかける場合もあり、飲料による乗客トラブルを防ぐための措置が必要だ」と発言している。

運転の荒っぽさも問題ではあるが、飲料の持ち込みで多くの人が迷惑しているいま、「飲料持ち込み禁止」を求めるの声が出たのは、当然の結果だったかもしれない。

アナウンス開始によって車内のコーヒートラブルは減少するか。ソウル市民たちのマナーが問われている。

(文=李 ハナ)