大雪に見舞われた今予選。劣悪な環境で戦い抜いたことは選手たちの財産になる。写真:川端暁彦

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 2年後のU-20ワールドカップのアジア1次予選に相当するU-19アジア選手権予選が、4日から8日にかけてモンゴルの首都ウランバートルで開催された。日本の所属するI組には地元モンゴルに加えて、東南アジアのシンガポールとタイが同居。無条件で来年のU-19アジア選手権本大会(U-20W杯アジア最終予選)への出場権を得られるのはグループ最上位のみというレギュレーションのため、日本の目標設定は当然ながら3戦全勝での1位通過である。とはいえ、最大の敵はこの3チームではなかった。
 
 この時期のウランバートル市内の気候は、一日中氷点下を下回る気温が続くこともある極寒。標高約1300mほどの高地ということもあり、サッカーを「プレー」するには相当タフな環境だった。U-18日本代表を率いる影山雅永監督も、「自分は岡山監督時代には雪山登山とかいろいろやっていましたけれど、これはちょっと経験したことのない環境でしたね」と、有名な岡山のサバイバル合宿を経験している指揮官でさえ苦笑いをしながら振り返るしかない、環境面で「ベリー・ディフィカルト」(影山監督)な戦いだった。
 
 日本サッカー協会という大枠で観ても、暑熱対策に関しては充実したノウハウの蓄積があり、さまざまな装備もある。だが、寒冷地対策となると、「正直言って、あまりノウハウはなかった」(代表スタッフ)。実際、DF阿部海大(東福岡高)が発熱して離脱したほか、MF齊藤未月(湘南)が「初戦は本当に体調が悪くて、状態が上がっていなかった」と振り返ったように、コンディションを崩す選手が続発。当初は第1戦と第2戦での完全なターンオーバーも視野に入れていたが、そもそも入れ替える選手が足りなくなってしまって断念するほどだった。
 
 ただ、「決して難しい相手ではなかった」と齊藤が振り返ったように、試合としては3戦全勝での終幕。タイとの最終戦は相手が徹底して守りを固めてくるアジア仕様の戦いを前にして苦しんだとはいえ、内容的には大差のあるゲームだった。
 厳しくタフな環境での戦いは、スタッフと選手たちが一体感を深めるうえで、これ以上ない良い機会となった。世界大会へ向かう過程としては、大きな意義のある「モンゴル合宿」だったと言えそうだ。

 DF杉山弾斗(市立船橋高)が「オフ・ザ・ピッチがすごくいい雰囲気でやれていて、みんなとコミュニケーションを取れている」と語ったように、よりタフな戦いが待っている来年の最終予選、そしてU-20ワールドカップに向けての下準備として、このモンゴルでの日々が効いてくるに違いない。
 
 ただ、「仲良しグループで行けるわけではない」と指揮官がハッキリ言いきったように、今回のチームがそのまま世界へ向かうわけではないことも言っておかなければならないだろう。U-17ワールドカップを戦った選手たちがここに加わってくることは確実で、来年プロ入りしてからポジションを掴み、グッと伸びてくるような選手もきっと出てくる。「モンゴル合宿」を通じてできた土台の上で、新しく、そしてタフな競争が始まることとなる。
 
取材・文 川端暁彦(フリーライター)