Appleは、かねてから噂されていたARヘッドセットの開発を2020年の出荷にむけて加速していることがBloombergにより報じられています。2019年末までの技術的完成が計画されているAppleのARヘッドセットには、新型チップと独自のOSが搭載されるとのことです。

数年前からすでにAR関連プロジェクトのため人材を確保

2020年の出荷に向けてARヘッドセット開発の加速化が伝えられているAppleですが、数年前からすでに拡張現実(AR)関連のプロジェクトのための人材の確保に勤しんでいました。
 
AR開発チームは、Appleが2015年に引き抜いた、元Dolby Lab製品技術部門上級副社長のマイク・ロックウェル氏により率いられています。
 
今や数百人のエンジニアがApple内から集結しているといわれるAR開発チームは、「T288」のコードネームの元、すでにいくつかのハードウェアとソフトウェアの開発を行なっているとされています。
 
チームが携わったARプロジェクトの一つに、iOSデベロッパがARアプリ開発に用いるARKitがあげられます。ARKitは、ティム・クック最高経営責任者(CEO)も、App Storeにはすでに1,000以上のARアプリがあると2017年第3四半期の収支報告の電話会議のなかで誇らしげに語ったほど凄まじい成長をとげています。

次のARプロジェクトはヘッドマウントディスプレイ

Appleが2019年末までに技術的完成を目指しているARヘッドセットの開発ですが、様々な障壁が立ちはだかっているのが現状です。
 
まず第一に、ARは3D映像を実際の環境に対して重ねあわせる技術であるため、デバイス内のディスプレイでバッテリーを極端に目減りさせることなくグラフィックをストリーミングし続ける必要があります。
 
ティム・クックCEOも、英Independentのインタビューで、「今マーケットに出ているもので私たちを満足させるものは見たことがない」と語るほど、ARヘッドセットは高度な技術が必要だといわれています。
 
Appleの最高デザイン責任者であるジョナサン・アイブ氏も、先月のテック系トークイベントで、「アイデアはすでにあるが、技術がそれに追いつくのを待っているものもある」と述べました。
 
しかしながら、Appleのこれまでの傾向から、他社がARヘッドセットに最適なチップを作るのを指をくわえて待つようなことはしないであろうといわれており、Apple Watchのときに行なったのと同じように、内製チップを独自で開発するのではないかと推測されています。
 
Apple Watchに使用されているようなsystems-on-package (SoP)のチップは、グラフィックプロセッサ、AIチップ、CPUを通常のプロセッサよりも小さい領域に押し込めることができ、加えて非常に省電力であるとのことです。
 
また、OSもARヘッドセット専用のものが開発されると予測されており、reality operating systemの頭文字をとって今のところ「rOS」と呼ばれているそうです。
 
iOSがもとになっているとされるrOSの開発は、Appleでゲームとグラフィック部門のソフトウェアマネージャーを務めたジェフ・スタール氏が担当していると伝えられています。
 
ユーザーがどのようにヘッドセットをコントロールし、アプリを立ち上げることができるかはまだ決まっていないといわれていますが、タッチパネルSiriを介した音声による起動ヘッドジェスチャーなどが現在考慮されているとのことです。
 
エンジニアたちはマップアプリやメッセージングなどの比較的単純な機能から、バーチャルミーティングや360度動画再生といったより複雑なものまで現在実験を行なっている真っ最中だといわれています。
 
ヘッドセット専用のApp Storeとの連動も視野に入れられており、iPhoneやApple Watchでアプリでダウンロードするのと同じようにコンテンツを追加することができるようになるかもしれません。
 
 
Source:Bloomberg
Photo:XPRIZE Foundation/Flickr
(lexi)