OA大手の既存事業、業績回復に向かう。「縮小市場に薄日」は本当か

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 縮小傾向にあったOA機器業界に薄日が差してきた。主要5社のうち、富士ゼロックスを除く3社は2017年4―9月期の決算が増収となり、通期も増収を見込む。12月期決算のキヤノンも17年1―9月期に大幅な増収、営業増益となった。為替の円安傾向による増収効果に加え、既存事業の回復も貢献している。

 ここ数年、OA機器市場の成熟化が進んでいる。3月期決算の4社の16年4―9月期は減収で、キヤノンも16年1―9月期は減収だった。それが17年に入り、一転して増収に転じた。

 リコーは、北米の一部で直売からディーラー販売に変更するという減収要因を抱えつつ、トップラインを伸ばした。円安の効果を除くと前年同期に比べて若干マイナスだが、事業基盤の強化が進んできたと言える。一方、キヤノンとセイコーエプソン、コニカミノルタは為替影響を除いても増収だった。

 これら4社に共通するのは既存事業の改善。新事業の上乗せだけでなく、事務機器など既存事業も回復しており、通期も同様の傾向が続く。

 キヤノンは東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)の新規連結効果が大きいものの、事務機器とカメラ、産業機器も伸びており、この3部門を合計すると通期で約2400億円の増収効果を見込む。東芝メディカルの営業利益率は他部門に比べて低いため、3部門は利益面でも貢献する。「高収益な既存事業が回復し成長している」(田中稔三キヤノン副社長)と分析している。

 セイコーエプソンは大容量インクタンクプリンターや高光束プロジェクターの好調な販売によって売上高が増加。コニカミノルタは欧州以外の事務機器販売が堅調に推移するほか、足元では欧州も回復してきた。リコーは利益重視の戦略にシフトし、単価の下落を抑制することに成功した。商業産業印刷関連の売り上げも伸びている。

 一方、営業利益は特殊要因を抱える企業もあり、まだら模様だ。セイコーエプソンは部品調達先の火災により、部品輸送などのコストが増加しており、17年4―9月期は営業減益。リコーはインド子会社の経営再建の遅れを受け、下期に最大300億円の営業損失の発生を見込み、18年3月期は大幅な営業減益を予想する。実績と通期予想の両方で前期の営業利益を上回るのはキヤノンのみだ。