細部まで洗練された味わいの料理を肩肘張らず、気軽に楽しめるのが嬉しい

神楽坂という街に求めるもの、それは「ひっそり感」「ここにしかない特別感」ではないだろうか。

今回は、自分だけの空間にしたくなる、本格フレンチの味わいとちょうどいい酒場感覚がMIXした新店『神楽坂BOLT』を紹介しよう!



同店のオーナーシェフ・仲田高広氏は、本格フレンチ『レスプリ ミタニ ア ゲタリ』や『マルディグラ』、そして赤坂の名酒場『まるしげ夢葉家』など数々の名店で腕を振るった腕利きシェフ
本格フレンチ+ほどよい酒場感が食通心をくすぐる
今行くべき注目の新店はここ!

神楽坂のなかでもかなり落ち着いた雰囲気の漂う牛込神楽坂周辺。そんなエリアのオフィスワーカーや住民たちが、今一番行きたい店に名を挙げるのが2017年7月にオープンした『神楽坂BOLT』である。

駅や神楽坂の喧騒からの距離感、店内の設え、もちろん料理に至るまで絶妙なバランスで佇む同店は、週1の自分へのご褒美ディナーや、肩肘張らずに美味しいものを……という気分の時に最適の場所。



客席はけやきの一枚板で造られたカウンター席のみ。ナプキンを共に置かれるボトル型のカトラリーレストも店内の空気を和らげてくれるほっこり要素

店内に入ると、けやきの一枚板で造られたカウンター席が出迎える。ナプキンとカトラリーが並び、本格フレンチのきちんと感も漂うものの、よく見るとカトラリーレストはボトル型、箸も用意されており、一気に緊張がほどけてしまう。

また、お品書きに目を通すとオムレツや温きんぴら、チャーハンという文字が並ぶ。料理のアプローチは本格フレンチでありながらも、和の要素と仲田氏自身が作りたい料理を織り交ぜた構成も素晴らしい。



「いくらのゲヴェルツマリネ、セルベルドカニュ、吉田パン」(1,800円)。いくらとパンの間には、フロマージュブランにセルフィーユ、ディル、塩コショウを混ぜ込んだセルベルドカニュが滑らかな食感をプラス ※提供は11月中旬頃までの予定
華やかな香りを纏った、いくらの美味しさが弾ける逸品

最初にオーダーしたいのは「いくらのゲヴェルツマリネ、セルベルドカニュ、吉田パン」。

オープンサンド的な位置づけの料理をと考案され、ジビエの煮込みやサマートリュフなど、時期によって食材の変化も楽しめる。

現在は、ゲヴェルツワインで漬け込こんだ旬のいくらを使用。華やかなゲヴェルツワイン香りと味わいがしっかりといくらをコーティングしつつ、いくらの柔らかな食感と旨みは残る。ワインと喧嘩することも多いいくらを、ここまで抜群の相性に仕上げているのは、仲田氏の経験から生み出された繊細な仕事の賜だろう。



「ちりめん山椒のオムレツ」(900円)。溶いた卵液に、予めちりめん山椒を入れてちりめん山椒の味わいを引き出していくのもポイントだそう
ホッとする優しい味わいのオムレツも必食

続いては「ちりめん山椒のオムレツ」。居酒屋やビストロの定義として卵料理は、欠かせないと考えた仲田氏がスタンダードメニューに据えたのがこちらの一皿。

甘めに味付けされた兵庫県産のちりめん山椒がたっぷりと入った優しい味わいが楽しめる。

ソースは敢えて、凝ったものを使用せずマヨネーズに黒七味とシンプルに。その心遣いも気軽さを演出してくれている。


リラックスできる居心地!味は本格フレンチメニューからカレーまで!



ラム肉を塩コショウでマリネした後、赤ワインに数日漬け込こむ。取り出したラム肉に焼き色を付け、フォンドボーと子羊の出汁、軽やかな赤ワイン、クミンやコリアンダーなどのスパイスとともに煮込んでいき完成する「ラムシャンクブルゼ」(2,800円)
お待ちかねのメインディッシュは、とろける食感と弾ける旨みを併せ持つ

メインには「ラムシャンクブルゼ」をセレクト。オーストラリアやイギリスの料理で、本場で食べると味気ないことが多いという。そんなレシピもしっかりとフレンチの技法を使う仲田氏の手にかかれば、絶品料理へと変貌する。

ナイフはいらないほど、ほろっと崩れていく柔らかなラム肉は、口に入れた瞬間に蓄えた旨みを弾けさせる。スパイスの香りとラムの相性の良さも感じ、お酒のペースもあがりそう。



「スープドポワソンカレー」(1,000円)。サラッとした食感のジャスミンライスに合わせて召し上がれ
〆にも技あり!唸るほど旨いカレーに注目

〆も「米沢牛のチャーハン」や「油そーめん」など酒飲み心をくすぐる品が揃っている。なかでもおすすめは「スープドポワソンカレー」。

新鮮であるが小さいためはじかれてしまう磯魚5種類ほどを市場で仕入れ、スープドポワソンを丁寧に作り上げていく。そこにスパイスをプラスして魚の旨みがたっぷり詰まったカレーが完成するのだ。ひと口頬張った瞬間に、力強い魚の旨みが駆け抜けていき、全て胃に納めるのはあっという間だろう。



食御酒やコーヒーを頼んだお客さんに提供されるプティ・フール変わりのボルト型のチョコレートもかわいい

おつまみとしても、ガッツリと食事でも、オールマイティに尚且つしっかりとフレンチを楽しめる『神楽坂BOLT』。



ワインだけでなく「じゃばらサワー」(670円)や「ゆずサワー」(640円)、「屋守」(800円)なども揃え、好みのペアリングを楽しめる

ビストロという枠組みでは、今までなかったジャンルにとらわれない場所を目指していくと語る仲田氏。正統派フレンチという一本のしっかり通った筋を幹に、彼の経験と感性を活かしたくさんの枝を広げていく神楽坂の大樹となるだろう。