一般的に、二足のわらじを履くことは難しいとされているが、世の中にはそれを両立してしまう人もいる。

 映画プロデューサーとして『君の名は』を手がけ、小説家としても活躍する川村元気が、11月1日放送の『トーキングフルーツ』(フジテレビ系)で仕事の秘訣を語っていた。

 映画プロデューサーと小説を書く仕事、どうやって頭を使い分けているのかとよく聞かれるが、「そこに差はない」と話す。

「どう表現するかっていうより、何に気づいているかが大事だと思っているんです。世の中の違和感みたいなものに対して、『あ、これちょっと変じゃないか』とか、『これ気になる』みたいなことの、気付きが8割。それをいちばん正しく伝わる表現で伝えるってことが大事だと思ってるんで」

 その気づいたことを表現する手法として、映画と小説の違いを語る。

「映画の場合は、いろんな人の脳をリレーションして、監督、俳優、音楽家とかの頭をつなぎながら表現する。ひとりぼっちで文章と向き合って、自分のまだわからない本心と向き合って、書いていく面白さがあるのが小説なんです」

 また、二足のわらじを履くことの利点もあるとか。

「両方やってるから作れる映画もあると思うんですよね。たとえば『世界から猫が消えたなら』って小説を書いてるときに、後半、書きながら、『小説って音楽が鳴らないんだ』って気づいたんです。当たり前なんですけど。で、『そうか、映画にとって最大のアドバンテージっていうのは音なんだ』と思って。

 これは歯ぎしりしても小説では表現できないから、音楽的な映画を作ろうと思って。『バクマン。』という映画で、サカナクションっていうバンドに音楽を頼んだりして、『君の名は』ではRADWIMPSに頼んだりとか、意識的にやるようになったんです。これは小説を書いてなかったら気づかなかったことじゃないかな」

 さらに、本業は映画だと言いながらも、映画と小説の両方を作り続ける意欲を見せた。

「映画が実家だと思ってるんですよ。映画っていう実家はなかなかよくて、音楽も入ってるし、小説もあって、芸能もいろんなものが入っていて。最近は開き直って、もう映画を作り続けてやろう、とにかくいっぱい作りながら、小説も書き続けてやろうと。そうすることで、小説を書いてる人間でしか作れない映画、映画を作ってる人間でしか書けない小説が出てくるんじゃないか」

 文学作品を原作にした映画『告白』『悪人』から、マンガ原作の映画『バクマン。』まで、さまざまなジャンルを手がけている川村。2018年には、プロデュースにとどまらず、ドラえもんの劇場版作品・脚本も担当。今後もさまざまなジャンルで活躍していくのだろう。