ハリルJが挑む世界基準の“距離感” ブラジル相手にいかに飛び込まず、絶妙なプレスをかけるか

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各選手が膨らませる守備のイメージ 「少しでもスペースを空けたら簡単にやられる」

 10日の国際親善試合ブラジル戦を控えるなか、バヒド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は着々とブラジル対策を進めている。

 代表合宿3日目となった7日のトレーニング後、日本代表の選手たちはFIFAランキング2位の相手と対峙するイメージを膨らませているという。

 今回の11月シリーズで日本代表の10番を背負うMF乾貴士(エイバル)は、スペインでレアル・マドリードやバルセロナなどワールドクラスが揃うビッグクラブとの対戦経験を持ち、「力強さは加わってくると思います。本当に難しい相手だと思うので、一人ひとりが120%出しても勝つのが難しい相手」と気を引き締める。

 乾は勝利のポイントとして、「どれだけ積極的に奪いに行けるかがすごく大事になってくる。そこで引かず前から行けるように。難しいことですけど、そういったチャレンジができる場なので」と指摘。そのうえで、「ただ自分たちがボールを持てる時間もある。持てる時間でどれだけ自分たちが崩せるか」と攻撃のイメージも膨らませている。

 強国相手のベースとなるのは、ロシア・ワールドカップ予選(W杯)アジア最終予選、8月31日に行われた本拠地オーストラリア戦だ。W杯出場権を獲得した一戦に先発していた乾は、「自分としてはそれが一番だと思います。もちろん引く場面も出てくると思いますけど、オーストラリアみたいに前からはめれられればチャンスも出てくる。そういった戦い方ができるようになれば日本のレベルももっと上がると思います」と明かしている。

 では、具体的にブラジル戦に臨む上で、どのようなポイントを選手たちは警戒しているのか。彼らの口からは、「1対1の守備」という共通のポイントが語られている。

ハイプレスをベースに、連動した守備を…

 ガンバ大阪のMF倉田秋は、中盤で攻守両面のハードワークが求められる役割に大きな変化はないという。ただし、ブラジル戦での球際の対応は変わると口にする。

「今までより相手に近いところで守備をしないと、少しでもスペースを空けたら簡単にやられてしまうと思う。今までより良い距離感で守備しないといけない。今日の練習でもそういう確認はした」

 また乾も同様の見解を示し、「1対1で凄く強い相手なので、飛び込まずにどれだけできるか。一発で交わされると後が苦しくなるので、そのへんの対応と言うのはしっかりやっていかないと、うちの選手に迷惑がかかりますし、やられる場面が増えてくる」と警戒を強めている。

 さらにFW浅野拓磨(シュツットガルト)が、「チームとしてしっかり守備から入るというのは、今日の練習でもありました。真正面からぶつかっていっても、なかなか難しい」と練習内容を明かせば、代表初招集のMF長澤和輝も「今日の練習でやったように組織をベースに個で勝負できるか、本番に向けて良い準備になる」と証言した。

 選手たちの話を総合すれば、オーストラリア戦同様、ハイプレスの守備をベースにしながら、球際では適度な距離感でプレッシャーを与えつつ、一発で飛びこまない対応がチームとしての共通認識と言える。

「判断のスピードは体の強さと関係ない」

 もっとも、その距離感を空けすぎれば「簡単にやられてしまう」という点も、よく理解している。一発で飛び込まず、それでいてボール奪取も狙える絶妙なプレスをどこまで実践できるかが、守備面での最大のポイントとなりそうだ。

 一方の攻撃に関して、乾は「自分たちがボールを持てる時間もあると思うので、持てる時間でどれだけ崩せるか」と言及。さらに倉田は、パススピードと判断のスピードを挙げた。

「だいぶボール際で潰してくるイメージがある。ちょっとでもボールを晒したり、持っちゃったらすぐ潰されてしまう。ワンタッチや早いパス回しで崩していけたらいい。判断のスピードは体の強さと関係ないと思うので、判断早くプレーしていきたい」

 日本はブラジルと過去11試合を行い、戦績は0勝2分9敗(4得点31失点)。2006年ドイツW杯グループリーグで対戦以降、直近の4試合は1-4(06年6月W杯)、0-4(12年10月親善試合)、0-3(13年6月コンフェデ杯)、0-4(14年10月親善試合)といずれも大量失点で4連敗を喫している。いまだ未勝利の相手から、ハリルジャパンは金星を挙げることができるだろうか。

【了】

大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images