血液の粘度から何が分かるのか

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 血液は、人間の生命維持に不可欠な存在だ。体内にくまなく行き渡り、各組織に栄養分やホルモンを供給したり、老廃物を運搬する。人間の血液は体重の13分の1といわれ、体重70kgの男性には約5.6リットルの血液が流れる。

 血液には形を持った血球部分と、液体成分である血漿部分がある。血球部分は、酸素を運ぶ「赤血球」と、体内の細菌や異物を処理する「白血球」、血液の凝固を行なう「血小板」からなる。一方、血漿部分は主に水分で構成される。

 血液の様子からは、現在の健康状態を推量できるのだ。たとえば不意に出た鼻血がツーッと垂れることや、ねっとりと流れることがある。血液の「粘度」から何がわかるのだろうか。栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅医師が解説する。

「健康状態が良好で血球成分の赤血球や白血球、血小板がスムーズに流れていると『サラサラ』とした血流になります。一方でストレスや喫煙、過労、睡眠不足が続くと免疫機能を維持するために白血球が粘着性を高め、血液は『ねっとり』とした状態になる。また血糖値が高いと糖が赤血球の膜に作用し、血液が『ベタベタ』することもあります」

 思温病院理事長の狭間研至氏は、ねっとり血液には「慢性炎症」の疑いがあると指摘する。

「粘度が高くなるのは、血液の凝固が進んでいるからと考えられる。体内の様々な部分で気付かないうちに慢性炎症が進行している場合、それに反応して血小板が増え、血液の凝固が進んでいる可能性があります」

 ねっとりがさらに進んだ状態が、「ドロドロ」と表現される。

「ストレスや過労による血液の粘着化に加えて、食生活に問題があるとコレステロールや中性脂肪が増加します。これらが血管に付着すると血液が流れにくくなり、“血液ドロドロ”と呼ばれる状態になる。そうなると、動脈硬化が一気に進みます」(狭間医師)

 広く知られているように、動脈硬化は重大な疾患の呼び水となる。

「動脈硬化が進むと、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。逆に改善して血液をサラサラに戻せば、将来的な疾患リスクを減らせます」(狭間医師)

 健康診断などで採血する際、自分の血が以前より「どす黒く」見えて驚くことがある。また、並んで採血された人の血が自分より鮮やかだったりすると、“自分の健康状態は悪いのか”と不安になったりする。血液の「色」は何を示すのだろうか。

「赤血球内のヘモグロビンは動脈で酸素と結びつくと『鮮やかな赤』になり、酸素と分離すると静脈で『どす黒い赤』になります。色の違いは個人差によるもので病的なものではありません」(狭間医師)

※週刊ポスト2017年11月17日号