ホクロで悩む人の朗報だ

写真拡大

顔のホクロで悩む人は多いが、レーザー治療などでは黒い色素が復活するケースが少なくなかった。関西医科大学などの研究チームは黒い色素を再生する細胞そのものを死滅させ、ホクロを完全に消す方法の開発に成功した。

研究成果は科学誌「PLOS ONE」の2017年11月1日号に発表された。また、生まれつき大きなホクロを持つ人を対象に、この方法を使ってホクロを消す臨床研究を始めている。

マリアナ海溝より深い水圧で悪玉細胞を破壊

関西医科大学の発表資料によると、ホクロは皮膚にある母斑(ぼはん)細胞がメラニン色素(黒色や茶色)を沈着させてできる。メラニン色素は安定性が悪く、放っておくと消えるはずだが、それでもホクロが頑固に残るのは母斑細胞がメラニン色素を産生し続けるからだ。ホクロを消す治療によく使われるレーザーは、メラニン色素が標的で母斑細胞が生き残るため、イタチゴッコで再発することが少なくなかった。

研究チームは、母斑細胞をなくせば色素が作られず、すでにある色素も体内に吸収されホクロが消えるという仮説を立てた。そして、20センチ以上の巨大なホクロを持つ「先天性巨大色素性母斑」の患者のホクロを使って検証した。1センチ四方のホクロの組織に、2000気圧の高圧を10分間加え、皮膚の主要成分であるコラーゲンを傷つけずに母斑細胞だけを破壊した。2000気圧は、世界で一番深いマリアナ海溝の約2倍の水圧に匹敵する圧力だ。ホクロの組織を拒絶反応を起こさないマウスに移植すると、半年後から白っぽくなり、1年後には色素が消えた。高圧処理をせずに移植した組織は1年後も色が残った。

研究チームは、この方法で2万人に1人ほどの割合でいる「先天性巨大色素性母斑」の患者10人のホクロを消す臨床研究を昨年11月から開始。切り取ったホクロの組織を高圧処理して元に戻し、経過を調べている。チームの森本尚樹准教授らは発表資料の中でこう語っている。

「高圧処理は食品加工の分野でよく使われる安全な方法です。高圧処理済みの組織を患者さんに移植すると、うまく適合して患者さん自身の皮膚を再生できることを確認しています。大きなホクロで悩む人や、皮膚の悪性腫瘍の患者さんの治療に役立つ可能性があります」