<インドのトイレ整備プログラムが過激すぎる。用足し真っ最中の写真と名前の投稿を呼び掛けるテレビ番組まで現れ、やりすぎを非難する声が上がっている>

インドではナレンドラ・モディ首相が推し進める一般家庭のトイレ設置計画「スワッチ・バーラト(クリーン・インディア)」が、2019年の節目を見据え加速している。

外でして水で洗う、が当たり前だった

インド国勢調査によると、一般家庭で専用のトイレを設置しているのは2011年にはわずか53%の世帯。2014年に誕生したモディ政権は精力的にトイレ問題の改善に取り組んでいるが、力の入れ方が少々荒っぽいのか反発する声が上がっている。

インドを訪れた経験のある人はわかるだろうが、インドでは大都市でも少し離れた川辺やスラムなどで毎朝、後始末用の水を入れた容器片手に用を足す光景に遭遇する。老若男女は問わない。

これはもちろん衛生的に良くない。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、人間の排泄物が放置され衛生環境が悪くなり、毎年何十万人もの死者を出していると指摘する。

このような状況を改善しようとモディ政権は国を挙げてトイレ普及に臨んでいるが、草の根の現場では軋轢が生じている。

パトロール隊の「辱め作戦」

インド政府はトイレ設置と併せて、屋外で用を足す人を取り締まるパトロール活動もしている。公務員と地域のボランティアで結成された「モチベーター」と呼ばれる監視チームが早朝の村を巡回し、用を足している人を見つけたら写真を撮ってその行為を晒すという。「これは嫌がらせだ」と声を上げる村人もいる。

Santram Gonjare(55)はある朝、用を足そうと家を出て道路沿いを歩いていたところをパトロール隊に見つかってしまった。排泄後に手を洗うために水を張った桶は取り上げられ、目の前で地面に叩きつけ壊された。

家に帰ったGonjareは恥ずかしさと悔しさでうなだれた。実は彼は家にトイレを設置しており、この日外に出たのは9人家族でトイレが混み過ぎて順番が回ってこないという理由からだった。

「どうしてこんなことが許されるんだ」とGonjareは嘆く。

市民に羞恥心を与えるだけでなく、厳しい罰則を設ける地域もある。マハーラーシュトラ州ビード県ではパトロール隊に見つかった場合、国の給付金を受けられない上に公職に就くことができなくなる可能性がある。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部