米主要企業が「アメリカ・ファースト」を警戒する理由

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ドナルド・トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」は、同国を孤立主義に向かわせる可能性がある。そして、それは米国経済に幅広く、予期しない結果をもたらすことになるかもしれない。米経済界は、そのことをよく理解している。

そう理解しているからこそ、多くの米企業は(トランプが初めて出席した北大西洋条約機構の首脳会議でモンテネグロ首相を押しのけて前列に進み出たように、米政府を)肘で突いてどかしてでも、前に進もうとしている。

トランプが招いた残念な状況

地球温暖化対策について協議する国連気候変動枠組み条約の第23回締約国会議(COP23)が11月6日、ドイツのボンで開幕した。会議には2020年以降の温暖化ガス削減の国際的な枠組みである「パリ協定」に加盟した197の国・地域が参加している。

この会議で問題の一つとなっているのは、トランプが同協定からの離脱を表明したことを受け、米国が今後も対策において何らかの役割を果たしていくのか、あるいは協議から外されることになるのかという点だ。離脱の意思を表明しても、実際に離脱が可能になるのは3年後だ。つまり、米国は2020年までは加盟国だ。

米政府が会議で訴えると見られるのは、「化石燃料は現在も世界経済において重要な役割を果たしており、企業も各国も、化石燃料をよりクリーンにするためのテクノロジーに投資すべきだ」ということだ。だが、多くの国は再生可能エネルギーとエネルギー効率向上の必要性を強調する必要があると考えており、米政府とは立場が異なる。

トランプが残留を決めていれば、たとえ主張が違っても、各国はより真剣に米国の意見に耳を傾けただろう。国際環境団体オイル・チェンジ・インターナショナルの活動家は、「気候変動を否定するトランプのばかげた見解を受け、主要20か国・地域(G20)の各国首脳は当面、(この問題に関して)トランプとは話をしないだろう」との見方を示している。米国のほかにパリ協定に参加しないことを決めているのは、シリアだけだ。

トランプ政権はまた、発展途上国にも温暖化ガスの排出削減を求めた一方で一定の配慮をしていることについて、これが米経済の成長の足かせになると主張している。だが、実際には米国はここ数年、低炭素社会の実現に向けた努力を強化する中でも、着実な経済成長を実現している。

気候変動対策は経済問題

米企業にとって気候変動問題への対応は、顧客が求める行動であり、経済の問題にほかならない。つまり、顧客らは企業に対し、「脱炭素を目指さないなら、それを目指す他の企業から買う」との考えを明確に示しているのだ。

多くの米企業は気候変動への取り組みに前向きだ。エネルギー関連のバークシャー・ハサウェイ・エナジー、ゼネラル・エレクトリック、電力会社のカルパインやPG&E、そして電気自動車メーカーのテスラなどがその例だ。

アルニウム生産最大手のアルコア、アップルやAT&T、バンク・オブ・アメリカ、バイオジェン、コカ・コーラ、ウォルマートなどといった各業界の多くの企業が、オバマ前政権の呼び掛けに応じ、「米ビジネス気候変動対応行動誓約」に署名している。中でもコカ・コーラは、ドリンク類のカーボン・フットプリントを2020年までに4分の1に削減するとの明確な目標を掲げている。

非営利団体、憂慮する科学者同盟の戦略・政策部門のトップは、この問題に対する米国と各国首脳の対応について、次のように指摘している。

「各国のリーダーたちは、気候変動が自国の繁栄と幸福を脅かしていることを理解している。その上で、エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーのソリューションがもたらす多大なビジネス機会から、利益を得ようとしている」